Xubuntu 22.04でEnlightenment 0.27をWayland環境で動かしてみた話

みなさん、こんにちは。

今回は、私が常用している軽量で快適なLinuxディストリビューション「Xubuntu 22.04」で、Enlightenmentデスクトップを次世代のディスプレイサーバープロトコル「Wayland」で動かした際の奮闘記をお届けします。

結論から先にいうと、EnlightenmentをWaylandで動かすのはまだ時期尚早のようです。

 


 

XubuntuとWayland、そして「軽さ」へのこだわり

 

Xubuntu 22.04は、Ubuntuをベースに軽量なデスクトップ環境「Xfce」を組み合わせたディストリビューションです。古いPCでもサクサク動作し、リソース消費も最小限。多くのユーザーに支持される理由はその「軽さ」にあります。

しかし、このXubuntuにも一つの課題があります。標準のXfce4は、Waylandにネイティブ対応していません。
Waylandは、旧来のX Window Systemに代わる新しい描画プロトコルとして、よりセキュアでスムーズな表示を可能にする次世代技術です。その恩恵を受けたいと思うのは自然な流れですが、Wayland対応のデスクトップ環境として代表的なのはGnomeやKDEなど、やや重めのものばかり。

「軽さ」を失わずにWayland環境を手に入れられないか? そう考えて辿り着いたのが、軽量かつ高機能なデスクトップ環境「Enlightenment」でした。特にバージョン0.27ではWaylandへの対応も進んでおり、試す価値ありと判断しました。

 


 

Enlightenment 0.27でWaylandを導入

 

1. Enlightenmentのインストール

Xubuntu 22.04 の標準リポジトリでインストールできるEnlightenmentは0.25です。よって、0.27をインストールできるリポジトリを追加してインストールします。

sudo add-apt-repository ppa:ubuntuhandbook1/e17
sudo apt update
sudo apt install enlightenment

このリポジトリ、ネットワーク速度がものすごく遅く、ダウンロードに5時間ほどかかりましたが、無事Enlightenment 0.27のインストールに成功しました。

次に、ログインマネージャーをLightDMからWaylandとの相性が良いGDM3(GNOME Display Manager)へ変更します。

 

2. GDM3のインストールと切り替え

sudo apt install gdm3
sudo dpkg-reconfigure gdm3

gdm3のインストール後、ログインマネージャーとしてgdm3を選択し、再起動します。

GDM3のログイン画面が表示されたら、歯車アイコンをクリックし、「Enlightenment (Wayland)」を選んでログインします。これでWaylandセッションが起動し、Enlightenmentの軽快で洗練されたデスクトップが利用できるようになります。

なお、Waylandセッションの場合はデスクトップの右上にWマークが表示されるようです。

wayland_session
Waylandセッションの証

 


 

日本語入力環境の構築(fcitx5 + Mozc)

 

Enlightenment (Wayland)は、インストールしただけでは日本語入力環境が有効化されていません。そのため、日本語入力環境を整えます。Xubutnu 22.04 の標準はibus-mozcがインストールされていますが、Waylandとの相性を考慮し、fcitx5とMozcに切り替えることにしました。

 

1. 既存のIBusの削除

sudo apt remove ibus-mozc

 

2. fcitx5のインストール

sudo apt install fcitx5 fcitx5-mozc
im-config -n fcitx5

 

3. 環境変数の設定(.profile に追加)

nano ~/.profile

エディタが開いたら、最後に以下3行を追加します。

# .profileの末尾に以下を追記
export GTK_IM_MODULE=fcitx
export QT_IM_MODULE=fcitx
export XMODIFIERS=@im=fcitx

 

4. fcitx5の自動起動設定

Enlightenmentの設定画面から
「設定」→「すべて」→「アプリケーション」→「自動起動するアプリケーション」
の順に進み、アプリケーションタブで「fcitx5」を選択して追加ボタンをクリックします。正常に追加されるとランプが点灯します。

これでログインと同時にfcitx5が起動し、スムーズな日本語入力が可能になります。

 


 

Wayland導入で見えてきた課題

 

以上で最低限の環境が整ったWaylandのEnlightenmentですが、ここでWEBブラウザのFirefoxで致命的課題に直面しました。

  • 日本語入力が有効にならない
  • ウィンドウが移動できない・常に最前面表示になる

どうやらSNAPでインストールされたSandbox環境のFirefoxに問題が発生しているようです。調べてみると、Enlightenment(Wayland)環境ではアプリの一部機能がうまく動作しないと多くの報告があがっていました。仕方がないのでWEBブラウザにはChromeをインストールしたところ、正常に動作できています。

これらの問題から分かる通り、WaylandもEnlightenmentもまだ発展途上であり、多くの課題が残っています。

 


 

次なる一歩:Waydroidへの期待

 

実はWayland環境を整えた目的は「Waydroid」を動かすことでした。

Waydroidは、Linux上でAndroidアプリをネイティブに実行できるプロジェクトで、Wayland環境がその前提となっています。アプリの不安定さは気になるものの、Waylandの導入により、次のステップへと踏み出す準備が整いました。

次回はWaydroidでAndroidアプリを動作させることに挑戦したいと思います。

 


 

まとめ:挑戦の価値はあった

 

今回の挑戦を通じて感じたのは、「新しい技術に触れてみること」の大切さです。不具合に直面したからこそ、現状の課題と向き合うことができ、次に試すべきことが見えてきました。

Waylandはまだ完璧ではありませんが、その将来性は非常に高いと感じています。より滑らかでセキュアなLinuxデスクトップ環境とAndroid環境の統合を目指して、これからも技術の進化を見守りつつ、自分でも試していきたいと思います。

 

本日も最後までお読みいただきありがとうございました。

それでは、よいLinuxライフを!

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

上部へスクロール