【Zorin OS 18】Windows 10の救世主?話題のOSを試してみたら、意外な「壁」が見えてきた話

みなさん、こんにちは。

2025年10月14日、とうとうWindows 10のサポートが終了し、Windows 10ユーザーがいよいよアップデートプログラムの配布終了の現実に迫られる中、こんなニュースが話題になっていましたね。

Windows 10サポート終了でWindows 11に移行せずLinuxを選択するユーザーが登場、「Zorin OS 18」がリリースから1カ月で100万DL達成(Gigazine)

リリースからたった1ヶ月で100万ダウンロード。この数字には驚かされます。「これならWindowsのかわりになるかも?」と期待した方も多いのではないでしょうか。

というわけで、実際のところはどうなのか?
普段はXubuntuやBodhi Linuxといった軽量Linuxディストリビューションを愛用している私が、話題のZorin OS 18を実際にインストールして試してみました。

結論から言うと……「初心者には結構ハードルが高いかも」というのが正直な感想です。

 


 

ダウンロードとインストールの時点で「鬼門」だった

 

まず、Zorin OS 公式サイトから無料の「Core」版をダウンロードしようとしたのですが、いきなり洗礼を浴びました。

ダウンロードが終わらない

ブラウザ経由だと「残り20時間以上」と表示され、1〜2時間経ったところで接続が切れて失敗……というのを3回繰り返しました。

zorin_os_18_download
3.5GBのダウンロードに20時間以上……

100万DL達成のニュース効果か、サーバーが相当混み合っているようです。

解決策
結局、ブラウザを諦めてwgetコマンドを使ったところ、無事にダウンロードできました。本来なら数分〜数十分で終わるはずの3.5GBのイメージですが、それでも3時間かかりました。コマンド操作に慣れていない方には、この時点ですでに厳しいかもしれません。

インストールも長丁場

今回はXubuntu 22.04上のVirtualBox 7.1(メモリ4GB割り当て)にインストールしました。

インストール自体も、体感で約3時間。特に「アップデートと日本語関連パッケージのインストール」に猛烈な時間がかかりました。サーバーの問題か私の環境の問題かは不明ですが、使い始める前から少しげんなりしてしまいました。

 


 

起動してみた第一印象 – 「Windowsっぽいけど、重い」

 

なんとかインストールを終え、ログイン画面へ。デスクトップが表示されると、たしかに見た目はWindows 10をかなり意識した作りになっています。移行ユーザーをターゲットにしているので、ここはさすがです。

zorinos_desktop
Zorin OS 18 のデスクトップ

ただ、操作してすぐに感じたのは「もっさり感」

ファイルマネージャーなどの情報を見ると、ベースは以下のようです。

  • デスクトップ環境: Gnome 46.4
  • ベースOS: Ubuntu 24.04 (Noble Numbat)

Gnomeという重量級デスクトップ環境を採用しているため、メモリ4GBの仮想環境ではかなり重く感じました。普段軽量Linuxを使っているせいもありますが、「古いPCを復活させる」という目的だとスペック不足に陥る可能性があります。

 


 

アプリの追加導入は「初心者殺し」かも

 

デフォルトのアプリは、ブラウザ、オフィス、メディアプレーヤーなど必要最低限です。当然、使いたいアプリは自分で入れる必要がありますが、ここにも罠がありました。

「ソフトウェア」ストアの挙動

初心者はコマンド(aptなど)を使わず、GUIのストアを利用することになります。 試しに「GIMP」を探してみると、デフォルトではFlathub(Flatpak版)からインストールされるようです。

  • ダウンロードが異常に遅い
    • 私の環境だけかもしれませんが、ダウンロードに非常に長い時間がかかりました。
    • ダウンロードおよびインストールの進捗状況がわからないので、正常動作しているのかわからなくて不安になりました。
  • snapやaptも選べるが、初心者がその違いを理解するのは困難
gimp_install
Gimpのインストール元の選択肢

Windows App Support (Wine)

「Windowsアプリが動く」と期待させる機能ですが、実態はWineです。

  • インストーラーのセットアップ自体に時間がかかる
  • 単純なダブルクリックで動かないアプリも多い
  • 日本語フォントが文字化けする

「exeファイルを叩けば動くんでしょ?」と思って移行してきたユーザーは、ここで挫折する可能性が高いです。

サクラエディタ
サクラエディタのメニューが文字化け

 


 

日本語入力の「あと一歩」

 

インストール時に日本語を選べば、日本語入力自体は可能です。

しかし、Mozcに切り替えてから半角/全角キーを押さないと日本語入力ができません。

mozcへ切り替え
日本語を入力する場合はMozcに切り替え

Windowsのように「半角/全角キー」一発で切り替えるには、設定で入力ソースの「Mozc」を第1優先にする必要があります。

mozcの優先順位を上げる
入力ソースのMozcの優先順位をあげる

これを知らないと、「キーボードを変えてから切り替えキーを押す」という謎の2ステップを強いられます。この設定に自力で気づける初心者がどれだけいるでしょうか……。

 


 

結論 – 初心者がWindows 10から移行する先としては疑問

 

厳しいようですが、「PC初心者にはおすすめできない」という結論に至りました。

Zorin OS 18を快適に使うには、以下の条件が必要です。

  • ある程度のマシンスペック(第6〜7世代Core i、メモリ8GB以上推奨)
  • Linuxの基礎知識(Apt/Snap/Flatpakの違い、日本語環境の構築など)
  • トラブルシューティング能力(今回もVM上でフリーズやインストール不全が発生しました)

 

「Windows風」であることの価値

かつて「Lindows」というWindowsのルックアンドフィールを再現することを目指すLinux OSがありましたが、ユーザーを獲得できずに消えて行きました。ユーザーが本当に求めているのは「見た目がWindowsであること」ではなく、「やりたいこと(アプリ)が今まで通りできる(使える)こと」であることは明らかです。

見た目は1週間もすれば慣れます。それよりも「安定していること」「困ったときに情報が出てくること」の方が重要です。

もし私が初心者に勧めるなら

Windows 10からの移行で、特に古いPCを活用したいなら、私ならZorin OSではなく以下を選びます。

  • Ubuntu (Lubuntu / Xubuntu)
    • 軽量で、トラブルが起きても検索すれば日本語の情報が圧倒的に多く出てきます。困ったときに「聞ける人が多い」のは最大の強みです。
  • Linux Mint
    • ユーザーが多く、Windowsライクな操作感で非常に安定しています。
      ※注意点として、Mintには「Cinnamon」「MATE」「Xfce」という3種類のエディションがあります。古いPCを軽く動かしたいなら、標準のCinnamonではなく、より軽量な「MATE」か「Xfce」版を選ぶのが鉄則です。

Zorin OSは開発規模が小さく、将来的にPro版(有料)への誘導が強まる可能性や、企業に買収されて他のディストリビューションに統合されてしまうリスクもゼロではありません。
「見た目」よりも「コミュニティの大きさ(情報の多さ)」と「軽さ」で選んだほうが、幸せにLinuxへ移行できるのではないかな、と感じた検証でした。

それにしても、1ヶ月で100万ダウンロードって本当なんでしょうか?それほど多くの人がZorin OSに辿り着いているとは、ちょっと信じがたい気もしますが……。

 

本日も最後までお読みいただきありがとうございました。

それでは、よいLinuxライフを!

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