Mandrake Linuxから/e/OSへ – スマホの時代に、あの頃の「自由の香り」を追いかけて

みなさん、こんにちは。

当サイトの熱心な読者の方ならご存知かと思いますが、私は生粋のLinuxユーザーです。現在はXubuntuBodhi Linuxに落ち着いていますが、かつては新しいディストリビューションが出るたびにインストールディスクを焼いていた、いわゆる「放浪者」でした。

Linuxの歴史を振り返ると、今よりも個性的で、OS自体が強い思想を持っていた時代がありました。日本ではPlamo LinuxVine Linuxが独自の文化を築き、海外ではRed HatDebianSlackwareがしのぎを削っていたあの頃。

そんな中で、ひときわ眩しい光を放っていた存在を覚えているでしょうか?

そう、Mandrake Linuxです。

Mandrake Linux 9.0
Mandrake Linux 9.0 画像はlinux-distros.comより

洗練されたGUI、初心者への圧倒的な優しさ、そして自由ソフトウェアとしての矜持。Linuxユーザーの間では有名な情報サイトDistroWatchで、常にトップ5以内の人気をキープしていました。あの時代を知る者にとって、Mandrakeは単なるOSではなく、「自分たちの手で自由を掴み取った」という高揚感の象徴でした。

それから20数年。あのMandrakeの生みの親、ガエル・デュバルが再び動き出しました。今度はPCではなく、私たちのポケットの中にある「スマホ」の自由を取り戻すために。

それが、今回ご紹介する /e/OS です。

 


 

継承された「ガエルの思想」 /e/OSとは何か

 

私が「ガエルが新しいスマートホン用のOSを作った」と聞いたとき、胸が高鳴ったのは言うまでもありません。

2018年に最初のベータ版が公開されて以来、私も2019年にMoto G4 Plusにインストールして利用を始め、現在はMoto G7にその魂を引き継ぎ、サブ端末として使い続けています。

motog4plus_eos
Moto G4 Plus にインストールした /e/OS

/e/OSの最大の特徴は、「徹底的なGoogle依存の排除」です。「AndroidからGoogleを抜く」という試みはLineageOSなどでも可能ですが、一般ユーザーにはハードルが高いのが現実。しかし/e/OSは、最初から「脱Googleのための完成パッケージ」として提供されています。

/e/OSが提供する「自由」のパッケージ

機能内容
MicroG標準搭載Google Play開発者サービスなしでアプリを動作させる
App LoungeGoogleアカウントなしでPlayストアのアプリをインストール
/e/CloudNextcloudベースのクラウド。連絡先や写真をGoogle以外で同期
Advanced PrivacyトラッカーのブロックやIP偽装をOSレベルで管理

Mandrakeが「誰でも使えるLinux」を目指したように、/e/OSは「誰でもプライバシーを取り戻せる世界」を目指しています。この一貫した思想こそが、ガエル・デュバルらしさと言えるでしょう。

著者注
ちなみに、/e/OSをプリインストールしたスマホは Murena smartphone として販売されています(残念ながら日本国内では未発売です)。

もし日本で/e/OSを自前でインストールしてみたいなら、皮肉なことにGoogle純正の「Pixel 8」が、最も入手しやすく動作も安定しているという現実があります。脱Googleを目指すためにGoogleのハードウェアを選ぶ……なんとも奇妙な逆転現象ですが、それが今のカスタムROM界隈の最適解だったりします。

※Pixel 8はすでに新品入手が難しいため、中古や整備品を探すのが現実的なルートです

 


 

日本で使うという「現実」の壁

 

しかし、理想と現実は時に残酷です。ここ日本は、世界でも稀に見るほど「Google依存 + FeliCa依存」が強い国だからです。

/e/OSを日本でメイン端末として使おうとすると、以下のような現実に直面します。

  • 交通系IC(Suica / PASMO): ほぼ全滅
  • 公的個人認証: マイナ保険証アプリなどが動作しない
  • 銀行アプリ: 一部はセキュリティチェックで起動すらしない
  • おサイフケータイ: もちろん不可

利便性を最優先にするなら、/e/OSは正直おすすめできません。

 


 

それでも /e/OS を選ぶ理由

 

では、なぜ私は(そして世界の有志たちは)このOSを追い続けるのか。それは、スマホというデバイスに対する「価値観」の表明に他なりません。

  • 「スマホを、自分のデータを吸い上げる装置にしたくない」
  • 「Googleアカウントに、人生のすべてを預けたくない」
  • 「利便性よりも、透明性と思想を優先したい」

そんな「思想的にクリーンな環境」を求める人にとって、/e/OSは唯一無二のシェルターなのです。Mandrake Linuxがかつて「自由への入り口」だったように、/e/OSは現代における「プライバシーへの入り口」になっています。

 


 

思想はロマン、生活はリアル

 

ここまで熱く語っておきながら、私は現実主義者でもあります。仕事で電車に乗るにはSuicaが必要ですし、銀行アプリが動かないと生活に支障が出ます。

だから、私のメインスマホは普通のAndroidです。

では /e/OS はどうしているのか?それは私にとって、「思想の実験場」としてサブ端末として静かに動いています。

Google依存をどこまで減らせるか。MicroGの互換性はどこまで進化したか。

そんな技術的・思想的な進化を追いかけるワクワク感は、かつてMandrake Linuxのインストール画面を眺めていたあの頃の感覚そのものです。

「思想だけで電車には乗れない」

それは日本の過酷な現実ですが、それでもポケットの中に「自由の香り」がする端末が入っている。それだけで、少しだけ世界が違って見える気がするのです。

ロマンが現実を追い越す日は来るのでしょうか?現実は厳しいものですが、その日を夢見ながら、私は今日も/e/OSのアップデートをチェックしています。

 

本日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

それでは、よいスマホライフを!

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

上部へスクロール