みなさん、こんにちは。
1年前、工学博士の友人とこんな会話をしました。
「生成AIってすごいよね。毎日会話してるよ」
「進化のスピードが異常だよね。去年の今頃と比べたら、中学生が大学生になったくらいの感覚だよ」
「教育も変わるし、未来そのものが変わるよね」
「格差は広がっていくのかな?」
そのとき、私はこう答えました。
「社会全体の底上げはされる。でも、格差は広がると思うよ。どういう指示を与えるかで、アウトプットの質が劇的に変わってしまうから」
そして最後に、私は彼にこう伝えました。
「これからも、思いっきりマニアックなブログを書き続けてね。それが生成AI後の世界を明るく導くために、個人ができる最大のことだから」
あれから1年。技術はさらに進化しましたが、私のこの考えはほとんど変わっていません。むしろ、確信に近づいています。
生成AIが「広さ」を民主化した
今や、生成AIによって多くのことが効率化されました。
- 要約は一瞬
- コード補助は日常
- 調査は対話で完結
知識へのアクセス権は、今やほぼ平等になったと言えるでしょう。これは間違いなく革命的な出来事です。
しかし同時に、ある事実がはっきりしてきました。
「広さ」は民主化されたが、「深さ」は民主化されていない
ということです。
生成AIは、平均値を底上げしてくれます。しかし、物事の「構造」を理解している人と、そうでない人の差は消えるどころか、むしろ広がっているのが現状です。
本当に希少なのは「知識量」ではない
生成AI時代において、以下のようなものの価値は相対的に下がっています。
- 単なる情報量
- 暗記力
- 表面的な専門用語の知識
では、何が希少になるのか。それは、専門分野を「構造」として理解していることです。
例えば、それぞれの事象を次のように抽象化して捉えられる視点です。
- 医療を「診断モデル」として見る
- IoTを「人間身体能力の拡張の設計」として見る
- 教育を「認知負荷の制御システム」として見る
こうした抽象化ができると、分野を横断した思考が可能になります。しかし、この抽象化の起点となるのは、あくまで人間側です。生成AIが自動的に「あなたのための新しい視点」をゼロから与えてくれるわけではありません。
「横断融合」は自然には起きない
「生成AIによって、これから分野融合が爆発的に進む」
1年前、そんな期待も語られていました。しかし冷静に見ると、社会全体での融合はまだ限定的です。
なぜなら、融合には次の条件が必要だからです。
- それぞれの分野の本質を理解している
- 適切な問いを立てられる
- 異なる構造同士を接続できる
生成AIは「橋」にはなってくれます。しかし、橋を渡る人間が「両岸の地形」を知らなければ、どこへ向かえばいいのか分かりません。 つまり、融合は自然に「起こる」ものではなく、人間が「設計する」ものなのです。
大学と産業界の隙間に立つ
私は今、「大学教育と産業界の隙間」を強く意識しています。
- 大学は抽象化されすぎている
- 現場は具体化されすぎている
この両者の間を翻訳できる人が、圧倒的に不足しています。
生成AIは翻訳作業を助けてくれますが、その「翻訳の方向」を決めるのは人間です。
だからこそ、私はあえてマニアックな内容を書き続けます。
- 現場でしか見えない具体的な事象
- 研究構造としての抽象的な理論
- 技術設計における思考のプロセス
これらを往復する文章を書くことが、隙間を埋める一つの方法だと信じているからです。
なぜ「マニアック」である必要があるのか
浅い情報は、生成AIで無限に作り出せる時代です。だからこそ、「深さ」こそが唯一無二の価値になります。
マニアックであるということは、以下の3点に集約されます。
- 他人が代替できない視点を持つこと
- 自分なりの問いを持ち続けること
- 自分の専門を構造まで掘り下げること
マニアックであることは単なる自己満足以上の価値を持ちます。深さがあるからこそ、他分野と接続できるようになるからです。
浅いもの同士は、表面をなぞるだけで融合しません。強固な構造を持ったもの同士だけが、深く結びつくことができるのです。
生成AIによって格差は広がるのか?
おそらく、広がります。
ボトムライン(下限)は引き上げられますが、同時に上限も突き抜けていきます。結果として、活躍のレンジが広がるでしょう。
だからこそ、私の戦略はひとつです。
「広くなる」方向ではなく、「深くなる」方向を選ぶ。
生成AIは強力な「増幅器」です。増幅されるのは、私たちがもともと持っている構造、問い、そして専門性。
流行のまとめや表面的な予測ではなく、マニアックな技術と思考の記録を書き続けること。それが専門性を再定義し、分野横断を設計し、大学と産業界の隙間を埋めるための、私なりの小さな実践です。
生成AI時代において、「何を書くか」は生き方そのもの、つまり戦略になります。
だからこそ、私は「深さ」を選び抜きたい。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。
それでは、よいブログライフを!



