Raspberry Pi 4の電源、停電時も安定稼働させるには? モバイルバッテリーの「瞬断」問題とUPSの選択肢

みなさん、こんにちは。

Raspberry PiをIoTシステム開発で活用したい人にとって、電源の安定供給は頭の痛い問題ですよね。

特に、停電時にもシステムを止めずに動かし続けたい、というニーズは少なくないのではないでしょうか。

今回は、そんなRaspberry Pi 4の停電時の電源確保について、私が実際に調査し、たどり着いた結論をお話ししたいと思います。

 


 

Raspberry Pi 4の電源要件とモバイルバッテリーの可能性

 

ご存じの通り、Raspberry Pi 45V/3Aという比較的高めの電源供給を必要とします。この要件を満たす電源として、手軽に思いつくのがPD(Power Delivery)対応のモバイルバッテリーですよね。実際、PD対応のものであれば、Raspberry Pi 4に十分な電力を供給することは可能です。

「それなら、モバイルバッテリーを繋いでおけば、停電時も大丈夫じゃない?」

そう思われる方もいるかもしれません。

ある意味では正解です。バッテリー駆動自体は可能ですから。しかし、UPS(無停電電源装置)のように、停電時にシームレスにバックアップ電源へ切り替えるという用途で考えると、話は少し複雑になります。

 


 

モバイルバッテリーの落とし穴 – 回避できない「瞬断

 

以前のブログ記事でも検証しましたが、モバイルバッテリーはACへの接続・切断時に「瞬断」が発生します

 

この瞬断は、パススルー充電対応のモバイルバッテリーであっても避けられない問題です。なぜでしょうか?

これは、モバイルバッテリーが充電モードと給電モードを切り替える際に、内部の回路が一時的に遮断されるためです。

デバイスの認識や電力制御のための仕様であり、瞬断の発生は製品の欠陥ではありません。多くのモバイルバッテリーは、数回の瞬断が許容されるような設計になっています。一部製品では瞬断を低減する工夫も見られますが、完全にゼロにすることは技術的に非常に困難なのです。

むしろ、「瞬断が全くない」というモバイルバッテリーがあったとすれば、それは急速充電の設計において何らかのリスクを抱えている可能性も考えられます。電源ラインにスーパーキャパシタを挿入して瞬断を緩和する方法もありますが、急速充電の条件下ではその効果にも制約が出てきます。

つまり、モバイルバッテリーはあくまで「バッテリー駆動を可能にする」ものであり、「無瞬断でバックアップ電源として機能する」ものではない、という認識が必要です。

 


 

連続稼働を求めるなら、やはりUPSが本命

 

もし、停電時にもRaspberry Pi 4を一切止めることなく連続稼働させたいのであれば、やはりUPS(無停電電源装置)を使うしかありません。UPSは、商用電源からの電力供給が途絶えた際に、瞬時にバッテリー駆動に切り替わるように設計されています。

しかし、ここでまた別の壁にぶつかります。5V/3Aの出力に対応する、安価で小型のUPSは意外と少ないのが現状です。中国メーカー製で安価な小型UPSも存在しますが、多くは2.4Aまでの対応で、Raspberry Pi 4の要求する3Aには届かないものがほとんどです。これは、主に0.5A~1A程度の無線機器の使用を想定しているためだと考えられます。

 


 

Raspberry Pi 4におすすめのUPS – APC BE425M-JP

 

私が現状、最も要望に合致すると考えているのは、APCのBE425M-JPです。

APC BE425M-JPのメリット

  • ACソケットを装備
    • Raspberry Pi用の純正ACアダプタをそのまま接続できるため、特別な変換ケーブルなどを用意する必要がありません。
  • 比較的手頃な価格
    • UPSとしては比較的安価な部類に入ります。
  • 425VA対応
    • Raspberry Pi 4の消費電力であれば十分な容量です。
  • Raspberry Pi 公式フォーラムでも言及

 

APC BE425M-JPのデメリット

一方で、デメリットも存在します。それは、そのサイズと重量です。

  • 高さ: 14.02 cm
  • : 25.3 cm
  • 奥行き: 10.5 cm
  • 重量: 2.95 kg

モバイルバッテリーのような機動性はなく、Raspberry Piをモバイル用途で活用している場合には、このUPSの大きさ・重さがネックになるかもしれません。

 


 

結論と今後の課題

 

これまでRaspberry Pi 4のバッテリー駆動について色々と調査してきましたが、「停電時にもシステムを一切止めずに連続稼働させたい」ということを最優先するならば、現状ではAPCのUPS BE425M-JPを使うという選択肢に落ち着きそうです。

しかし、Raspberry Piの大きな魅力の一つである「小型軽量でどこにでも持ち運べるモビリティ」が、このUPSを導入することで大きく損なわれてしまうのは、正直なところ悩ましい点です。

皆さんのアイデアを教えてください!

もし、このAPCのUPS以外にも、Raspberry Pi 4の停電時連続稼働に適した、より小型で軽量、かつ安価なソリューションをご存じの方がいらっしゃいましたら、ぜひコメント欄で情報をお寄せいただけると嬉しいです。

 

本日も最後までお読みいただきありがとうございました。

それでは、よいRaspberry Piライフを!

「Raspberry Pi 4の電源、停電時も安定稼働させるには? モバイルバッテリーの「瞬断」問題とUPSの選択肢」への1件のフィードバック

  1. ピンバック: Raspberry Pi 4をモバイルバッテリーで瞬断せずに駆動できるのか試してみた - ビューローみかみ

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