みなさん、こんにちは。
2025年の仕事を納め、明日12月29日の月曜日から年末年始休業の方も多いのではないでしょうか。
ところで、エンジニアやシステムに関わる仕事をしていると、どうしても「正解か、不正解か」「バグか、仕様か」という、0か1かの確定論的な世界にどっぷり浸かってしまいがちですよね。ロジックが通っているか、テストコードが通るか。そんな日々を過ごしていると、いつの間にか「答えは常に一つである」という思考の癖がついてしまうものです。
そんな凝り固まった思考を、心地よく解きほぐしてくれる素晴らしいコンテンツがあります。多摩美術大学が展開している「Tama Design University(TDU)」の講義シリーズです。
現在、第4シリーズとなる「デザインという問い」のアーカイブ配信が始まっています。これが、単なる「見た目を整えるデザイン」の話ではなく、私たちの仕事や生き方の根幹を揺さぶるような、非常にエキサイティングな内容となっています。
今回はTDUとそのオンライン講義シリーズをご紹介します。
誰でも学べるヴァーチャル大学「Tama Design University」とは?
まず、この「Tama Design University」がどのような場所なのか、公式サイトの解説を引用してみます。
Tama Design Universityは、誰でも学べるヴァーチャル大学です。 2021年、第一線で活躍する研究者・実務家を招き、デザインの新領域を知り、共に考える機会として、50のオンライン講座を実施し、無料公開しました。
そう、ここは誰もが無料で、デザインの最前線に触れられる開かれた学びの場なのです。過去の講義の多くは、YouTubeチャンネルでアーカイブとして公開されており、いつでも視聴可能です。
- 公式サイト: https://tub.tamabi.ac.jp/tdu/
- YouTubeチャンネル: https://www.youtube.com/@tubtamaartuniversitytub3703
私が特に面白いと感じているのは、登場するデザイナーたちが、それぞれ「デザインとは何か」という本質的な問いに対して、異なる答えを持っているところです。
「仕様書」という正解を追い求めるエンジニアの視点からすると、プロフェッショナルたちがそれぞれ別の正解を語っている姿は、とても新鮮で、ある種の救いのようにさえ感じられます。
「相手の身になる」だけでは足りない。共創の本質に震えた話
今回配信されている第4シリーズのテーマは「Questioning Design — デザインという問い」です。 (公式サイト:https://tub.tamabi.ac.jp/tdu/4th/)
2025年10月から11月にかけて全14講座がライブ配信されました。私はライブでは第1回しか視聴できなかったのですが、その内容があまりに深く、今はアーカイブをコツコツと追いかけているところです。
第1回の講義で、障害者向けのデザインを手がけるデザイナーの方が語っていた言葉が、今も胸に残っています。
「共創(Co-creation)は、相手の当事者性に対して、自らの当事者性に向き合わないとできない」
私たちはユーザーインターフェースや体験を設計する際、「ユーザーの視点に立とう」「相手の身になって考えよう」と努力します。しかし、そのデザイナーの方は「それだけでは不十分だ」と言います。
相手の困難を想像するだけでなく、それを一歩引いて俯瞰し、「自分は今、どういう立ち位置でこの問題に関わっているのか」「自分と社会との関係はどうなっているのか」という、自分自身の立ち位置を厳しく見直さない限り、本当の意味での「共に創る」ことにはならないというのです。
システム開発においても、クライアントやユーザーの要望をただ「要件」として受け取るだけでは、どこか他人事のまま、魂の抜けたシステムになってしまうことがあります。自分たちがこのプロダクトを通じて社会にどう向き合おうとしているのか。その「当事者性」を問い直すこと。デザインというアプローチが、実は非常に高度な知的活動であり、社会実装のための強い意志であることに気づかされました。
年末年始に制覇したい!おすすめの視聴順
さて、TDUにはこれまでに膨大な講義が蓄積されています。もし興味が湧いたら、この年末年始の休みを利用して「全4シリーズ+1アカデミーの完全制覇」を目指してみてはいかがでしょうか?
私がおすすめする、体系的かつ深い学びを得るための視聴順をご紹介します。
1. まずはここから:アカデミー「New Value Creation Academy」
デザインという概念に初めて触れる人が、体系的に学べる17のプログラムです。
「デザインって結局、ビジネスにどう役立つの?」という疑問を持つ忙しい社会人が、エッセンスをギュッと凝縮して知りたいなら、まずはこれです。
2. 視野を広げる:第3シリーズ「Tama Design High School」
デザイン初学者向けの、多種多様な話題をつまみ食いできる30のプログラム。
「デザインってこんなに広いの?」という驚きがあるはず。浅く広く、デザインの面白さを知りたい時に最適です。
3. 深く潜る:第4シリーズ「Questioning Design」(最新!)
今回ご紹介した、デザインで最も本質的な「問い」をテーマにした14のプログラム。
常識に疑問を持ち、「問い」を立てることで新しい価値を見出したい人におすすめです。今の時代、最も求められている能力かもしれません。
4. 思考を再構築する:第1シリーズ「Cutting Edge」
「どうデザインするか」の前に「何をデザインするか」を考え直す50のプログラム。
少しデザインをかじったことがある人が、全く異なる視点から思考をリセットしたい時にガツンと響きます。
5. 未来への責任を考える:第2シリーズ「Circular Design」
SDGsやサーキュラーエコノミーに焦点を当てた16のプログラム。
環境問題や持続可能性を、綺麗事ではなく「デザインの力」でどう解決していくか。真剣に社会の未来を考えたいなら、必見の内容です。
年末年始、デザインの深淵に触れてみませんか?
慌ただしい日常から少し離れられる年末年始は、こうした腰を据えた学びには最高のタイミングです。
デザイナーと呼ばれる人たちが、普段何を考え、それをどう社会に実装しているのか。その思考プロセスに触れることは、エンジニアにとっても、ビジネスパーソンにとっても、強力な武器になるはずです。
こたつでみかんを食べながら、あるいは静かなカフェで、YouTubeのアーカイブを1つ再生してみる。それだけで、2026年の「問い」の立て方が変わるかもしれませんよ。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。
それでは、よいデザインライフを!




ピンバック: 「できそうで、やりづらかったこと」を掘り起こせ!映像作家に学ぶ、エンジニアのための創造性の鍛え方 - ビューローみかみ