みなさん、こんにちは。
IoTシステムを含め、多くのサービスが提供される現代において、顧客体験(UX)の向上は企業にとって重要な課題です。そのため、サービスブループリントという手法が注目を集めています。
本記事では、サービスブループリントの基本概念から実践的な活用方法までを解説していきます。
サービスブループリントの本質的な価値
サービスブループリントとは、顧客とサービス提供者との相互作用を視覚的に表現するツールです。サービスの設計、実装、改善に活用される重要な手法として、多くの企業で採用されています。
サービスブループリントの最大の特徴は、顧客接点(タッチポイント)とバックヤードの業務プロセスを包括的に可視化できる点です。
これにより、サービス提供における潜在的なリスクや改善機会を特定しやすくなります。また、組織内での情報共有ツールとしても効果的で、部門間の連携強化にも貢献します。
構造と基本要素
サービスブループリントは、横軸に時間軸、縦軸にサービスの構成要素を配置します。
縦軸は通常、以下のレイヤーで構成されます。
- 顧客の行動ライン:サービスを利用する際の顧客の一連の行動
- フロントステージ:顧客と直接対面する従業員の活動
- バックステージ:顧客からは見えない業務プロセス
- サポートプロセス:サービス提供を支える基盤的な活動
タッチポイントの重要性
タッチポイントとは、顧客とブランドが接触するすべての機会を指します。
大きく分けて以下の3つの段階があります。
- 購入前:広告、口コミ、Web検索など
- 購入時:実際のサービス利用場面
- 購入後:アフターサービス、継続的なコミュニケーション
これらのタッチポイントを適切に管理することで、一貫した顧客体験を提供することが可能になります。
実践的な活用例:クリーニング店のケース
クリーニング店での顧客対応を例に、サービスブループリントの実践的な活用方法を見ていきましょう。現状のブループリントは以下の通りです。

クリーニング店のブループリント
現状のプロセスでは、以下のような課題が存在しています。
- 料金体系の不透明さ
- 待ち時間の長さ
- 顧客への進捗状況の未共有
これらの課題に対して、サービスブループリントを用いて以下の改善を施してみました。
- レジシステムに顧客閲覧用モニターを設置
- バックオフィスでのタグ付け作業の効率化
- 処理手順の簡素化
改善後のブループリントは以下の通りです。

業務改善後のクリーニング店のブループリント
これらの改善により、以下のサービス価値が創出されると考えられます。
- 明朗会計による顧客の安心感向上
- 処理時間短縮による顧客満足度の向上
- スタッフの業務効率化による従業員満足度の向上
サービスブループリントの活用メリット
サービスブループリントの作成は、たとえ業務に精通している担当者でも、サービスの流れを改めて体系的に整理する必要があり、大変骨の折れる作業です。また、一人の担当者が把握できるのは業務の一部分に限られるため、完全なブループリントを作成するには関係者を集めての共同作業が不可欠です。
このように作成には多大な労力を要しますが、完成したサービスブループリントを活用することで以下のメリットを得ることができます。
- プロセスの可視化による情報共有の促進
- バックステージを含めた包括的なサービス価値の把握
- 問題発生時の原因特定と改善策立案の容易さ
これらのメリットを最大限に引き出すために、サービスブループリントを活用する際は以下の点に注意が必要です。
- 顧客視点を常に意識すること
- 各プロセスの所要時間を明確にすること
- 部門間の連携ポイントを明確にすること
- 定期的な見直しと更新を行うこと
デジタル化時代のブループリント
今回はクリーニング店という従来型サービスを分析対象としましたが、デジタル化の進展に伴い、サービスブループリントもより動的で柔軟な形態へと進化していくことが予想されます。
オンラインとオフラインの顧客接点を統合的に管理し、よりシームレスな顧客体験(UX)を実現するツールとして、その重要性は一層高まるでしょう。
まとめ
サービスブループリントは、単なる業務フロー図以上の価値を持つツールです。
顧客体験(UX)の向上から業務効率化まで、幅広い効果をもたらします。継続的な改善活動の基盤として、多くの企業で活用されることが期待されます。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。