みなさん、こんにちは。
最近、自作キーボードが静かなブームを迎えているようですね。筐体、基板、そしてスイッチを自分で選び、組み合わせて唯一無二のキーボードを作り上げる。その奥深さと自由度に、私も心を惹かれ始めています。
思えば、私のPCライフにおいて、キーボードは単なる入力デバイス以上の存在でした。 これまで、様々なキーボードと出会い、それぞれの個性が私の作業環境や思考に微妙な影響を与えてきたように感じます。
そこで今回は、私がこれまで歩んできたキーボード遍歴を振り返りながら、次の相棒となるキーボードに抱く想いを綴ってみたいと思います。
キーボードとの出会い – 秋葉原での衝撃
私がキーボードというものに興味を持ち始めたのは、2004年頃だったでしょうか。
当時、秋葉原のPCパーツショップで働いていた私は、昼休みになると決まってキーボード専門店を巡っていました。ネオテック、クレバリー2号店、そしてぷらっとホーム。特にこの3店舗は、他ではなかなか見かけない個性的なキーボードを置いており、足繁く通ってはウィンドウショッピングを楽しんでいました。今思えば、エルゴノミクスデザインの先駆けであるKinesisのキーボードも、ぷらっとホームで初めて知ったように記憶しています。
それまで、PCに付属していた何の変哲もないメンブレンキーボードしか使ったことがなかった私にとって、店頭で触れる様々なキーボードの打鍵感は、まさに衝撃でした。カチカチと小気味良い音を立てるもの、吸い付くように沈み込むもの、その一つひとつが全く異なる個性を持ち、PC操作という日常的な行為に、これほどの違いをもたらすのかと驚いたものです。しかし、当時の私にとって、1万円を超えるキーボードは、まだ手の届かない高嶺の花でした。
初めてのこだわり – HHK Lite2との出会いと別れ
そんな私が初めて自分のお金で買った、こだわりのキーボードがHHK Lite2でした。当時、PCでの作業と手書きのメモを並行して行うことが多かったため、とにかく机のスペースを広く確保したいと考えていました。
HHK Lite2は、コンパクトなサイズでありながら、独立したカーソルキーを備えている点が大きな魅力でした。メンブレン方式のため、メカニカルキーボードのような明確な打鍵感はありませんでしたが、PC付属の安価なキーボードとは一線を画す、しっかりとした打ち心地だったと記憶しています。
2年ほど愛用したでしょうか。シフトキーを押す際に引っかかるような感触が出てきたため、残念ながらお蔵入りとなってしまいました。

メカニカルへの憧憬 – FILCO FKB91JPとの短い時間
その後、私はメカニカルキーボードの世界に足を踏み入れます。
最初に手にしたのは、FILCOのFKB91JP。Cherry茶軸を採用した、コンパクトサイズの日本語配列キーボードでした。当時、メカニカルキーボードといえば、Alpsスイッチの影響からか、カチカチとうるさいというイメージが強かったのですが、このキーボードは軽いタッチでありながら、比較的静かな打鍵音で、その印象を覆してくれました。
しかし、FILCOのキーボードは、当時から独特のキー配列を採用しており、3年ほど使ってみたものの、最後まで慣れることができませんでした。また、当時は数字を入力する機会が多かったため、やはりテンキーがないと不便に感じ、常用するのを諦めてしまいました。

テンキーを求めて – CHERRY G80-3000の記憶
テンキー付きで、かつ比較的コンパクトなメカニカルキーボードを探していたところ、まさに理想的な一台を発見しました。
それが、CHERRYのG80-3000です。2万円近くする高級機でしたが、その打鍵感に一瞬で心を奪われました。
黒軸ならではのしっかりとした押し応え。そして、筐体の剛性の高さからくる、カチャカチャとした余計な音のない爽快な打鍵感は、それまで使ってきたどのメカニカルキーボードよりも私の好みに合っていました。テンキーは数字入力作業で大活躍してくれましたが、英語配列だったため、日本語入力時には少し手間取ることもありました。それでも、このキーボードの打鍵感が忘れられず、常用するというよりは、時々取り出してきて気分転換に使う、という特別な存在でした。
長くストックしていましたが、PS/2接続のPCがほぼ市場から姿を消した2020年頃、手放してしまいました。驚いたことに、USB接続モデルであれば、ドイツではまだ現役で販売されているようです。

静電容量無接点方式への浮気 – 訳ありのRealForce101 ML0100
ある時、訳あり品として投げ売りされていた静電容量無接点方式のキーボードに、興味本位で手を出してみました。それが、RealForce101 ML0100です。
電子ピアノのようにストンストンとキーが沈み込む感触で、キーの重さはあまり感じませんでした。しかし、筐体が非常に重く、これまで使ったどのキーボードよりも 重量を感じました。
英語配列かつ私としてはもう少ししっかりとした打鍵感が好みでしたし、さらに、どうやら飲み物をこぼした故障品だったようで、テンキー部分のエンターキーが反応しなかったこともあり、1週間ほど試してみましたが、常用するには至らず、結局お蔵入りとなりました。

USB接続への移行 – ThinkPadキーボードとの10年以上に渡るお付き合い
ここまでのキーボードはPS/2接続でしたが、時代はUSB接続へと移行していました。
日本語入力に対応し、テンキー付きで、かつ重量の軽いキーボードが欲しい。そんな私の要求を満たすキーボードとして出会ったのが、IBM USB Keyboard with UltraNav (Japanese) ウルトラナビ付 31P8974でした。ThinkPadシリーズで定評のある打鍵感をそのまま再現しており、パンタグラフ式でありながら、よくあるペタペタとした嫌な感触がなく、しっかりと押し下げる感触がある点が気に入りました。しかもテンキー付きで、その後の3年間、私のよき相棒として活躍してくれました。

その後、数字入力をあまりしない職場に異動したため、テンキーレスのキーボードが欲しくなり、追加で購入したのがThinkPad トラベル UltraNav USB キーボードでした。これは、UltraNavのテンキー部分を取り除いたモデルで、基本的な打鍵感は同じでした。しかし、4年ほど使用した頃から、チャタリングが発生するようになり、残念ながら廃棄することになりました。

その後継機として購入したのが、ThinkPad USB トラックポイントキーボード 55Y9003です。コストダウンのためかトラックパッド部分が省かれたモデルでしたが、私にとっては誤操作が減り、むしろ都合が良いと感じました。こちらも5年ほど愛用しましたが、最終的にはチャタリングが発生し、廃棄となりました。パンタグラフ方式はやはりメカニカル方式に比べると耐久性が一段劣るようです。

再びメカニカルへ – FILCO Majestouch MINILAとの現在
そして、メカニカルキーボードへの憧憬が再燃し、再びFILCOのキーボードに回帰しました。それが、FILCO Majestouch MINILA FFKB68ML/NBです。
コンパクトなメカニカルキーボードであり、軸はCHERRY G80-3000と同じ黒軸を選びました。あの時の打鍵感を期待して購入したのですが、実際に使ってみると、何かが違うと感じました。特にエンターキーやスペースキーを押した時のカチャカチャという耳障りな音が気になったのです。おそらく、筐体とキートップの材質の違いによるものだと思いますが、少し残念でした。また、FILCOは相変わらずの特殊配列で、慣れるまでには少し時間を要しました。
しかし、なんだかんだで8年目の今も現役で使い続けています。そろそろキートップもヘタってきたので買い替えたいのですが、これだ、という特別な製品にはまだ出会えていません。

モバイルキーボードの遍歴 – Reudo RBK-3000BTとの出会い
2010年以降は、スマートフォンやタブレット用のモバイルキーボードも必要になり、いくつか購入しました。
しかし、長期間の使用に耐えられたのは、ReudoのRBK-3000BTのみでした。最初に英語配列のRBK-2000BT3を購入し、その打ちやすさに惹かれて日本語配列を追加購入しました。Bluetooth接続がWi-Fiと干渉するのか、時々接続が不安定になることもありますが、打ちやすさを考えると、今のところこれ以上のモバイルキーボードは見つかっていません。iCleverなど、いくつかのキーボードを試しましたが、特殊なキー配列にどうしても慣れることができませんでした。

次なる相棒に想いを馳せて
こうして私のキーボード遍歴を振り返ってみると、私はどうやら、コンパクトであること、日本語配列であること、独立したカーソルキーが付いていること、そして黒軸のような重めのキータッチのキーボードを好む傾向があるようです。
この条件を満たす、新たな相棒となるキーボードを、これからも探し求めていきたいと思います。最近流行りのゲーミングキーボードの中に、私の好みに近い製品があるような気がしています。あるいは、ついに自作キーボードの世界に足を踏み入れてしまう日が来るのかもしれませんね。
いかがでしたか?みなさんも理想のキーボードをぜひ探しだして手にいれてくださいね。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。
それでは、よいキーボードライフを!