人生100年時代、出口戦略を考えよう – 「死ぬまで投資」は本当に正解?

みなさん、こんにちは。

「人生100年時代」という言葉を耳にするようになって久しいですね。老後の生活に備えて資産形成を始める人が増え、株式インデックスファンドへの長期投資は、今や資産形成の王道となりつつあります。

しかし、多くの人が「どうやって始めるか(入り口)」にばかり注目し、「いつ、どうやって使うか(出口)」については、あまり考える機会がありません。せっかく資産を築いても、使うタイミングが分からず、不安を抱えたまま過ごしてしまうのは、とてももったいないことです。

今回は、システムの話から少し離れて、私自身が元証券外務員という経験も踏まえながら、資産形成の「出口戦略」について考えてみたいと思います。

 


 

なぜ「死ぬまで投資」は合理的ではないのか?

 

「人生100年」と聞くと、「老後資金が足りなくなるのでは?」と不安になり、「死ぬまで投資を続けなきゃ」と考えがちです。しかし、本当にそうでしょうか?

日本には「貯金は美徳」という文化があり、お金を減らすことに抵抗感を持つ人が少なくありません。さらに、医療費や介護費への不安から、「まだ先があるから使えない」という心理が働きやすいのです。

しかし、この考え方には落とし穴があります。

お金を増やすことばかりに意識が向いてしまい、肝心の「お金を使って人生を楽しむ」タイミングを逃してしまうリスクがあるからです。

 


 

キーワードは「健康寿命」

 

ここで大切なのが、健康寿命という視点です。

厚生労働省のデータによると、日本人の平均寿命は男性が約81歳、女性が約87歳ですが、介護や日常生活の制限なく暮らせる健康寿命は、それよりも約10年短い、男性が72〜73歳、女性が75歳前後です。

つまり、平均寿命と健康寿命の間には、約10年間のギャップが存在する可能性が高いのです。この期間は、思うように体が動かせず、せっかく資産があっても十分に楽しめないかもしれません。

だからこそ、「死ぬまで投資」ではなく、「健康寿命までに投資から消費へ切り替える」という考え方が現実的になります。元気で活動できるうちに、旅行や趣味、学び、体験といった「能動的な消費」にお金を使うことこそ、本当の意味でのリターンと言えるのではないでしょうか。

 


 

消費に切り替えるタイミングと戦略

 

では、具体的にいつ、どのように投資から消費へ移行すれば良いのでしょうか。

消費に切り替えるタイミングの目安

  • 生活資金が十分に確保できたとき
    • 年金や資産の取り崩しで、老後の生活費を十分にまかなえる状態になったら、積極的に消費にシフトしても良いサインです。よく言われる「4%ルール」や「生活費の20年分確保」といった考え方が参考になります。
  • 「黄金の消費期」と捉える
    • 60歳から75歳は、体力もあり、時間も増える「黄金の消費期」です。この時期に旅行や趣味などにお金を回すのが、もっとも合理的な使い方と言えるでしょう。

資産を減らすことへの抵抗感をなくすには

資産を減らすことに抵抗がある場合は、資産の一部を現金や債券に移し、「安心して使える財布」を分けておくのがおすすめです。これにより、心理的なハードルが下がり、消費への一歩を踏み出しやすくなります。

 


 

資産形成の本当のゴールとは?

 

資産形成は、人生を豊かにするための手段であって、決して目的ではありません。

「もっとお金を増やしたい」という気持ちは、誰もが抱くものです。しかし、そればかりに囚われてしまうと、せっかく築いた資産を活かせないまま、人生が終わってしまうかもしれません。

健康で自由に動ける時間は有限です。

その限られた時間に、これまで築いてきた資産を消費へと切り替え、自分の人生や大切な人との時間を豊かにすることが、資産形成の本当のゴールではないでしょうか。

「人生100年時代」を不安に思うのではなく、前向きに楽しむために、ぜひ「投資から消費への切り替え」という出口戦略を意識してみてください。

 


 

まとめ

 

資産形成のゴールは「お金を増やすこと」ではなく、健康寿命を基準に投資から消費へ切り替えることだと考えるのが現実的です。特に60〜75歳は、心身ともに元気で活動できる「黄金の消費期」であり、この時期に積極的にお金を使うことが、人生の最大のリターンとなるでしょう。自分の資産額や健康状態、そして家族への思いを軸に、自分だけの出口戦略を考えることが大切です。みなさんも、ぜひ実践してみてください。

 

本日も最後までお読みいただきありがとうございました。

それでは、よいライフプランを!

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