みなさん、こんにちは。
以前の記事で、Raspberry Pi OS 用の SD カードに暗号化パーティションを作成する手順を紹介しました。
先日、久しぶりにこの作業をUbuntu 22.04で行ったのですが、すっかり忘れていた「地味な落とし穴」に見事にはまってしまいました。
今回はその実体験をベースに、「cryptsetupで『Yes』と打っているのに処理が中断されてしまう」という、一見すると不可解な挙動の原因と対策についてまとめてみます。
突然の 「Operation aborted.」
SDカード(/dev/mmcblk0p3)を暗号化しようと、いつものように以下のコマンドを実行した時のことです。
sudo cryptsetup luksFormat /dev/mmcblk0p3
すると、おなじみの警告メッセージが表示されます。
WARNING: Device /dev/mmcblk0p3 already contains a 'ext4' superblock signature.
WARNING!
========
This will overwrite data on /dev/mmcblk0p3 irrevocably.
Are you sure? (Type 'yes' in capital letters):
「はいはい、承知の上ですよ」と、私は素直に Yes と入力しました。
すると、cryptsetupから返ってきたのは無情なこの一言。
Operation aborted.
「えっ、今 Yes って打ったよね……?」と思わず画面を二度見してしまいました。
原因 – プロンプトが「紛らわしすぎる」仕様だった
結論から言うと、cryptsetupが受け付けてくれるのは 「YES」 (すべて大文字)のみ でした。
yes→ NGYes→ NGYES→ OK!(唯一の正解)
実は、プロンプトの文言をよく見るとこう書いてあります。
(Type ‘yes’ in capital letters)
「yesを大文字で(=大文字でyesと)打て」という意味なのですが、これを「Yes」と解釈してしまうとアウト。内部実装的に「YES」という3文字が完全に一致しないと拒否される仕様なのです。
これは歴史的な経緯で残っている挙動のようですが、世界中のエンジニアが一度は通る「お約束」の罠かもしれません。
他のエラーとの見分け方
今回のログを見て、「ext4の警告が出ているから失敗したのでは?」と思う方もいるかもしれませんが、それは問題ありません。
WARNING: Device /dev/mmcblk0p3 already contains a 'ext4' superblock signature.
これは「既にext4形式のデータがあるけど上書きしていいの?」と聞かれているだけなので、LUKSで初期化するのが目的であれば無視して進めてOKです。
また、SDカードやeMMC(/dev/mmcblk0系)を使っている場合、以下のような物理的な要因で abort することもあります。
- SDカードが読み取り専用(RO)になっている
- カードリーダーとの相性問題
- カーネルログ(
dmesg)に I/O error が出ている
しかし、今回のように「Yesと打った直後に終わる」場合は、十中八九入力ミス扱いによる中断です。
正しい対処 – 仕様に従って「YES」
暗号化パーティションを作成する際は、確認プロンプトが出たら迷わずこう打ち込みましょう。
YES
これだけで、先ほどまでの頑固な挙動が嘘のようにスムーズに処理が進みます。
対策 – Raspberry Pi の環境づくりは「備忘録」が命
今回の件で改めて痛感したのは、「慣れた作業ほど、細かい癖を言語化して残しておくべき」ということです。
特にRaspberry Piのように、ボードとOSの組み合わせが複数存在し、リソースも限られた環境の構築では、
- OSやツールのバージョンで微妙に挙動が変わる
- 本体で作業するとパーティションが使用中で操作できない(別PCでの作業が必要)
- SDカード特有のI/Oエラーが起きやすい
といった特有の注意点があります。こうした「小さな詰まりどころ」を手順書化して残しておくことが、開発の安定感に繋がるのだと感じます。
癖を記録すること、それが大事
- cryptsetupの確認は “YES” (完全大文字) 以外受け付けない
- プロンプトの “yes in capital letters” は「Yes」ではない
- ext4シグネチャ警告は気にしなくてOK
- うまくいかない時はカードの物理エラーも疑う
暗号化はセキュリティを高める強力な武器ですが、まずはそのツール自体の「癖」を忘れずに記録しておくことが大事ですね。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。
それでは、よい Raspberry Pi ライフを!



