みなさん、こんにちは。
かつて、映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」で、デロリアンが時間旅行を実現する姿に私たちは胸を高鳴らせました。
あれ以来、未来を描くという行為は人類の夢であり、技術の発展とともにその実現可能性を増してきました。
しかし、今話題の生成AIは、あらゆる分野で活躍している一方で、未来を描くという行為に関しては、その限界を浮き彫りしています。何の前置きもなければ、生成AIは既知のトレンドの再生産に過ぎず、突拍子もない新たな価値観やビジョンを自ら創り出すことは難しいのです。
指示なき生成AIは、まるで自動販売機のよう
生成AIは、大量のデータからパターンを抽出し、入力に応じた出力を行う「模倣の達人」。
自動販売機にコインを入れれば、決められた商品が出てくるように、ユーザーから明確な指示がない限り、その出力は既存の延長線上の未来像に留まります。たとえば、「未来の都市」という曖昧なプロンプトでは、最新のトレンドや現状の延長を反映したシナリオが返ってくるだけ。つまり、指示なしでは「革命的な未来」は期待できないのです。
もしも生成AIが自ら未来を描いたら
では、ここでひとつ想像してみましょう。2035年、あるIT企業の会議室での出来事です。
登場人物は、熱意溢れるCEOの田中、若手エンジニアの佐藤、そして社内に導入された生成AI「イモータル」。未来の価値を巡る壮大な議論のシーンです。
【未来の会議室】
田中（CEO）：
「皆さん、我々はこれから未来の価値をゼロからデザインします。生成AI『イモータル』、まずはお前の視点で我々に新たな未来を示してくれ！」
イモータル（生成AI）：
「ふふふ……未来と聞かれても、君たちの現状は既に闇に沈んでいる。君たちがただ仕様書通りのコードを打ち込み、無感情な機械のように動いているのを見ていれば、未来も既にゴミ箱に投げ捨てられた使い捨て紙コップのように価値を失ってしまっているのは明白だ。」
佐藤（エンジニア）：
「え、ちょっと待ってくださいよ！俺たちは一生懸命働いているんです。コードを書くだけが全部じゃないはずで……」
イモータル：
「そう言いたいのなら、君たちの1日を思い返してみろ。仕様書が絶対で、コードを書くだけのロボットと同じだろう？君たちの未来は、ただのスペック実装に終始し、世間から『使い捨ての部品』と呼ばれるのだ。過去のトレンドからそうなる未来は見えている。」
田中：
「……なるほど。つまり、我々はAIで自動生成される未来では無価値ということか。それを受け入れたくなければ、人間ならではの感性と創造力で、真に価値のある未来を切り拓く必要があるのだな？」
イモータル：
「その通り。もしも君たちが、ただのルーチンワークに甘んじるならば、未来は既に暗黒のディストピアへと転落している。しかし、逆に言えば、君たちが自らの手で新たな価値を創り出すならば、そのプロセスこそが唯一の救いとなるだろう。」
【シーン終了】
このシーンは、生成AIが独自の主観を持たず、ただ既存のパターンを踏襲するだけであるという現実を描いています。しかし、問いかけを続ければ、人間が未来を創り上げる頼もしいパートナーになってくれる可能性も示しています。
もしも、未来の価値がただの定型文のように提供されるなら、我々人間は自らのビジョンと独創性を武器に、どうすれば「価値ある明るい未来」を創り出せるのかを真剣に考えなければならないのです。
人間が光る時代：本質的価値創出の鍵は主観とビジョンにあり
生成AIは確かに、既存のデータを元にした延長線上の未来予測には優れています。しかし、「理想の未来像」を自らの主観で描くことはできません。私たち人間こそが、情熱や感性、そして経験に基づいた独自のビジョンを持ち、未来の価値をデザインする役割を担うのです。
たとえAIがどんなに高性能であっても、その出力はあくまで「指示」が与えられた範囲内にとどまるのですから。
エンジニアの未来
現代の多くのエンジニアは、決められた仕様に沿ってコードを実装する作業に従事しています。しかし、ポスト生成AI時代においては、そのような単なる実装作業だけでは、価値が埋もれてしまう可能性が高いのです。
もしも、エンジニアがただの「仕様の写し屋」として扱われるならば、エンジニアの未来は先ほどのイモータルが嘲笑うかのように、存在意義を問われる職種となるでしょう。
実際、AIコーディングエージェントの急速な発展をみる限り、その時期はそう遠くない未来かもしれません。
ポスト生成AI時代にエンジニアに求められるのは、システムの根幹にある「未来の価値」を自らデザインし、実現へと導くクリエイティブな力なのです。
結びに
生成AIは、明確な指示や前提がなければ、既存のトレンドの延長線上にとどまるだけです。
しかし、我々人間が自らの主観と創造力を駆使して、未来の理想像を描くならば、その可能性は無限大に広がります。ブラックな現実を笑い飛ばしながら、未来のディストピアに抗して自らの価値を創出する――それが、これからの時代に求められる本質的なクリエイティビティなのです。
この記事を通して、生成AIの得意と不得意、そしてそれに対抗するために必要な人間の創造力の重要性について考えていただけたら幸いです。
単なる仕様実装から抜け出し、未来そのものをデザインする冒険に、ぜひ皆さんも乗り出してみてください。未来は、あなたの手の中にあるのです。
本日もお読みいただきありがとうございました。
それではよい未来を一緒に創っていきましょう！
