みなさん、こんにちは。
動画編集アプリといえば、長らく「Shotcut」を使ってきたのですが、操作性にやや癖があり、常に「もっと自分に合ったソフトはないかな」と感じていました。
そんな中、つい最近、たまたま見つけたのが Beutl という動画編集ソフトです。
Beutlとは?
Beutlは、C#ベースのAvalonia UIで開発されたクロスプラットフォーム対応の動画編集アプリです。Windows、Linux、macOSのいずれでも動作するのが特徴で、作者によると、AviUtlのような操作感を目指して開発しているとのことです。モーショングラフィックスを作りたい人にとりわけ向いているとも。
なお、Avalonia UI については過去に記事も書きましたので、ご参考ください。
ところで、AviUtlといえば、日本の動画編集アプリの草分け的存在。かつて私も一瞬だけ触ったことがあります。未だにファンも多いのですが、Windows専用でクローズドソースという点がネック。私のようにLinux環境でも使いたい人間にはなかなか手を出しづらいものでした。
その点、Beutlはオープンソースかつクロスプラットフォーム。しかもAvalonia UI製ということで、Linuxでも快適に動作してくれるのでは?と期待が高まり、試してみることにしました。
Ubuntu 22.04へのインストール
BeutlのGitHubリリースページを確認したところ、私の普段使っている.NET SDK 8.0.115
に適合するバージョンとして v1.0.0-preview.10
があることが判明。
また、Beutl公式のバージョン対応表も非常に参考になりました。
ダウンロードとインストール手順
- 以下のページから
.deb
ファイルをダウンロードします
https://github.com/b-editor/beutl/releases/tag/v1.0.0-preview.10
- インストールコマンド
sudo apt install ./beutl_1.0.0-731ubuntu22.04_amd64.deb
起動してみると、「ffmpegが見つからない」というエラーが表示されました。バージョン対応表にも記載がありますが、どうやらBeutlでは、ffmpeg6
が必要なようです。
Ubuntu 22.04の公式リポジトリではffmpeg
6が提供されていないため、非公式のPPAを利用してバージョンアップを行います。
sudo add-apt-repository ppa:ubuntuhandbook1/ffmpeg6
sudo apt update
sudo apt install ffmpeg
PPA削除方法(必要であれば)
もし将来的に元の環境に戻したい場合は、以下のようにPPAを削除してffmpegを再インストールします。
sudo apt remove ffmpeg
sudo apt install ppa-purge
sudo ppa-purge ppa:ubuntuhandbook1/ffmpeg6sudo apt install ffmpeg
ffmpeg6をインストールした結果、Beutlを起動してもエラーが表示されないようになりました。
ただし、「新しいバージョンがあります」と表示され、最新版のダウンロードサイトへ誘導されます。最新版は.NET 9
でビルドされており、私の環境の.NET 8
と競合する可能性があるため、あえてこのバージョンのまま使うことにします。
Bodhi Linux 7.0.0へのインストール
次に、軽量ディストリビューションであるBodhi Linux 7.0.0にもBeutlをインストールしてみました。同様に.deb
をインストールし、起動しようとしたところ、以下のような例外エラーが発生しました。
Unhandled exception. System.InvalidOperationException: Could not create glyphTypeface. Font family: $Default (key: ) ...
調べてみると、どうやら「フォント不足」が原因のようです。
フォントを追加してみたところ…
以下のコマンドで必要と思われるフォントを追加しました。
sudo apt install fonts-noto-core fonts-noto-mono fonts-dejavu-core fonts-liberation
しかし、依然としてエラーは解決しません。
Beutlをソースからビルドしてみる
これは仕方がない、ということでBeutlをソースからビルドすることにしました。幸い、Beutlはオープンソースなのでソースコードは自由に取得できます。
ソースのクローン
ソースをクローンして、beutlフォルダに移動します。
git clone https://github.com/b-editor/beutl.git
cd beutl
ビルドのポイント
何も考えずにビルドしてみたところ、当然のようにエラーがでるので、以下の修正を行いました。
.NET 8 LTS
を使うように修正。global.json
のSDKバージョンを8.0.115
に変更csproj
内のnet9.0
をnet8.0
に修正
- さらに、問題の原因となっていたフォント関連を、以下のように設定変更。
.With(new FontManagerOptions
{
DefaultFamilyName = "Noto Sans"
})
- Windows向けコード(例:
<UseWindowsForms>true</UseWindowsForms>
やnet9.0-windows
)はコメントアウトまたは削除。
これでビルドは無事に通り、Bodhi Linux上でもBeutlが起動するようになりました!
まとめ
Beutlは、Linux環境でAviUtlライクな動画編集を探している人には非常に有望な選択肢だと思います。現時点では多少の工夫やビルドが必要な部分もありますが、オープンソースかつクロスプラットフォームで開発が進んでいるのは非常に心強いです。
Ubuntuでは比較的スムーズに動作しましたが、Bodhi Linuxのような軽量ディストリビューションでは、フォント周りの細かい対応が必要になりました。とはいえ、ソースビルドまで試してみたいという方にはぜひチャレンジしてみてほしいところです。
Beutl自体の使用感については、長くなってしまいそうなので次回の記事でレビューしたいと思います。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。
それでは、よい動画編集ライフを!
2025/4/19 レビュー記事を書きましたので、ご参考ください。
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