【オープンソースで動画編集】Beutlを触ってみた!モーショングラフィックスの可能性と今後の課題

みなさん、こんにちは。

先日、新しい動画編集ソフト「Beutl」をご紹介しました。

 

前回はインストール記事で終わってしまったのですが、その後、実際に試してみました。

特に印象的だったのはアニメーション効果、いわゆるモーショングラフィックスの細かさです。

 


 

驚くほど自由度の高いモーショングラフィックス

 

Beutlのモーショングラフィックス機能で特筆すべきは、ベジエ曲線を使って移動の軌跡を非常に細かく調整できる点です。従来の動画編集ソフト、例えば私もよく利用する「ShotCut」にもイージング機能があり、ある程度の軌跡調整は可能です。しかし、ベジエ曲線による制御は、まさに「思い通り」の動きを映像に与えることができます。

具体的には、オブジェクトの加速・減速のタイミング、カーブの形状などを直感的に操作でき、単調になりがちなオブジェクトの移動に、複雑で滑らかな表現を加えることができるのです。例えば、画面の端から現れたロゴが、最初はゆっくりと動き出し、途中から勢いを増して弧を描いてピタリと止まる、といったアニメーションも、ベジエ曲線を使えば容易に実現できます。

これまで、このような凝ったモーショングラフィックスを作成しようとすると、After Effectsのような専門的なソフト、もしくは国内でファンの多いAviUtlが必要でしたが、Beutlはその領域に一歩踏み込んでいると言えるでしょう。作りこんだ映像表現を目指すクリエイターにとって、Beutlは新たな可能性を秘めたツールとなりそうです。

 


 

エフェクト機能とジオメトリエディタは未知数

 

Beutlの公式サイトでは、豊富なエフェクトも特徴として挙げられています。しかし、普段あまりエフェクトを多用しない私にとって、その豊富さや使い勝手を十分に評価することはできませんでした。プリセットの種類は多いように見受けられましたが、その効果の質やカスタマイズ性については、今後の検証が必要だと感じています。

また、「ジオメトリエディタ」という機能も搭載されており、アプリ内で独自の図形を編集できるようです。これは、例えばテロップのデザインやアニメーションの素材をBeutl内で完結できるという点で、非常に魅力的な機能です。しかし、残念ながら、私が試した限りでは、このジオメトリエディタをどのように起動し、使用するのかが分かりませんでした。チュートリアルやドキュメントが不足しているのかもしれません。この点については、今後のアップデートや情報公開に期待したいところです。

 


 

Beutlの課題点:オーディオ編集と基本的な編集効率

 

高機能なモーショングラフィックス機能に可能性を感じる一方で、Beutlにはいくつかの課題も見られました。特に気になったのは、オーディオ編集機能の弱さです。

動画編集において、映像と並んで重要な要素が音声です。BGMの音量調整や効果音の挿入など、細かな調整を行いたい場面は少なくありません。しかし、Beutlでは音声波形を確認しながらゲイン(音量)を調整することができませんでした。これは、音量のバランスを視覚的に把握できないため、非常に不便に感じました。

また、映像をカットしてつなぎ合わせるだけの単純な編集作業においては、Beutlは効率が良いとは言えません。タイムライン上に動画のサムネイル(スクリーンショット)が表示されないため、どの部分を編集しているのかを直感的に把握しにくいのです。これにより、細切れになったクリップを並べ替える際などに、ストレスを感じることがありました。

さらに、これはLinux版特有の問題かもしれませんが、タイムラインにソースファイルをドラッグ&ドロップで追加することができませんでした。ライブラリから要素をタイムラインにドラッグ&ドロップし、ソース操作からソースファイルを選択して読み込むという手順が必要になり、これも編集のテンポを悪くする要因となりました。(ちなみに、Windows版ではドラッグ&ドロップが可能でした)

 


 

現時点での結論:得意分野を活かす使い分けが現実的

 

現時点での私の結論としては、Beutlは万能な動画編集ソフトとは言い難い、ということです。

  • カット編集や基本的な音声調整は、これまで通りShotCutで行うのが効率的でしょう。
  • しかし、ここぞという場面で、凝ったモーショングラフィックスの映像を挿入したい場合には、Beutlの力を借りる価値は十分にあります。

理想的なワークフローとしては、Beutlで作成したモーショングラフィックスの映像を個別に書き出し、それをShotCutなどの別の編集ソフトに読み込んで、全体の編集作業を行う、という形になるでしょう。これは、まさにプロの現場におけるAdobe Premiere ProとAfter Effectsの関係に似ています。それぞれの得意分野を活かし、連携することで、より高度な映像制作が可能になるのではないでしょうか。

 


 

今後の熟成に期待

 

Beutlはまだ発展途上のソフトだと感じています。それだけに、今回の使用感で感じた課題点が改善され、さらに魅力的な機能が追加されることを心から期待しています。

特に、インストールやバージョンアップ時の環境依存による調整は、初心者にとっては大きなハードルとなり得ます。より簡単なインストール方法や、OSに依存しない安定した動作が実現されることを願っています。

個人的には、Beutlの持つポテンシャルは非常に大きいと感じています。特にモーショングラフィックス機能は、AviUtilと遜色ない印象です。今後のアップデートによって、より多くのユーザーにとって使いやすい、強力な動画編集ソフトへと進化していくことを楽しみにしています。

いかがでしたでしょうか?このブログ記事が、Beutlに興味を持っている方の参考になれば幸いです。

 

本日も最後までお読みいただきありがとうございました。

それでは、よい動画編集ライフを!

「【オープンソースで動画編集】Beutlを触ってみた!モーショングラフィックスの可能性と今後の課題」への1件のフィードバック

  1. ピンバック: BeutlをUbuntu 22.04とBodhi Linux 7.0.0にインストールしてみた - ビューローみかみ

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