MSX0はIoT市場で戦えるのか?MSX Devcon 14に参加して考えたこと

みなさん、こんにちは。

当サイトでは何度かMSX関連の話題を取り上げてきましたが、今回は約5か月ぶり、久々のMSX記事をお届けします。

2025年12月13日、品川で開催された「MSX Devcon 14」にオンライン参加しました。

MSX」と聞いて「懐かしいな〜」と感じる方も多いのではないでしょうか。1980年代から90年代にかけて一世を風靡した8ビットパソコンの規格ですから、レトロPCとしての印象が強いですよね。

ですが、今回のDevconを私はノスタルジーではなく、IoTの視点で聞いていました。
理由は単純で、現在のMSXプロジェクト、とりわけMSX0が「レトロPC復刻」ではなく、教育・制御・IoT市場を明確に意識しているからです。

今回はイベントのレポートを交えつつ、「MSX0は本当にIoT市場で戦えるのか?」という点に絞って考察してみたいと思います。

 


 

西和彦氏が語る「なぜ今、MSXなのか」

 

クローズド化する現代コンピュータへの一石

基調講演で西和彦氏が繰り返し語っていたのは、現代のコンピュータが「中身の見えないブラックボックス」になってしまっていることへの危機感でした。

  • ハードウェアの中身が見えない
  • ファームウェアがブラックボックス化している
  • セキュリティを理由に「ユーザーが触れない」のが当たり前

これ、IoTの現場に携わっている方なら「あるある」と頷ける部分ではないでしょうか?

 

「理解できる」計算機を取り戻す

MSXが目指しているのは、「オープンハードウェア」と「セミオープンソフトウェア」の両立です。
誰でも触れる「BASIC」という入り口を使い、中身を理解し、自分で制御できる。この「透明性の高さ」は、教育現場はもちろん、現場でカスタマイズが求められるIoTの世界とも非常に相性が良いはずです。

 


 

MSX0が抱えていた「現実的な壁」

 

これまでのMSX0が、思想は素晴らしくても「ビジネスや実運用」で使いにくかったのには、明確な理由があったと感じています。

 

セキュリティが実運用レベルに届かなかった

最大の問題はセキュリティでした。

  • 通信の暗号化が不十分
  • アウトバウンド通信のセキュリティ設計が弱い

この状態では、個人の実験(PoC)には良くても、企業の現場に導入するのは流石にハードルが高かったのが正直なところです。

 

価格と入手性の問題

IoTデバイスは「壊れたら交換できる」「必要に応じて買い足せる」という、安定した調達が不可欠です。
これまでのMSX0は、性能に対してやや価格が高く、入手ルートも限定的でした。そのため、どうしても「ホビー向けの試作機」という枠を出られずにいた印象です。

 


 

「MSX0 Tab5」で何が変わるのか?

 

今回のDevconでプロトタイプ機がお披露目された「MSX0 Tab5」は、これらの課題に対する一つの解答になりそうです。

 

ESP32-P4によるハードウェア暗号化

新型の「Tab5」では、チップにESP32-P4を採用。ここで注目したいのは、処理速度の向上(turboRエミュレーション対応)よりも、ハードウェアによる暗号化支援が強化された点です。 IoTにおいて「速い」ことより「安全に繋がる」ことの方が、ビジネス上の価値は何倍も高いですからね。

 

2万円台という「戦える価格」

さらに注目したいのが価格戦略です。開発環境セットで2万円台を目指すとのこと。 この価格帯なら、Raspberry Piや他のマイコンボードと並べて、導入の比較検討ができる土俵に乗ってきたと言えるでしょう。

 


 

周辺機器のエコシステムが鍵を握る

 

IoTで最も重要なのは、本体よりも「何に繋がるか」です。

今回、M5Stack社の周辺機器をMSX0で使えるようにする構想が示されました。スイッチサイエンスなどの主要なショップで、センサーやアクチュエーターが当たり前に買えるようになるか。ここが普及の分水嶺になるはずです。

「組めること」「すぐ試せること」がすべて
どんなに思想が優れていても、配線が面倒だったり、センサーが手に入らなかったりすれば、現場では使われません。

 


 

「センサーの先」にある意思決定へ

 

ところで、IoT業界が抱える永遠の課題に、「センサーで値を取った後、結局どうするの?」という問いがあります。
可視化まではできても、その後の「制御」に踏み込めているケースは意外と少ないものです。

MSX0は、「ローカルでの制御」と「リモート管理」をシンプルに結びつける可能性を秘めています。

「高機能すぎて複雑」なシステムではなく、「理解できて、直せて、管理できる」。

このMSXならではの切り口が、現場に刺さるかもしれません。

 


 

MSX2++とMSX3について

 

今回の発表では他の規格についても触れられていました。

  • MSX2++
    • 明らかにレトロ・ファン向け。IoT文脈ではあまり関係なさそうですが、趣味としては最高ですね。
  • MSX3
    • AI、LLM、HPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)など、かなりハイエンドな構想が語られましたが、具体像はまだこれから、といった印象です。

 


 

最後に – MSX0は「教材」から「現場」へ行けるのか

 

MSX0 Tab5は、間違いなく「現場」に向けて大きく前進しました。

  1. 性能の向上
  2. セキュリティの強化
  3. 現実的な価格設定

これらが揃いつつあります。あとは、「安定した入手性」と「周辺機器の充実」、そして具体的な「成功事例(ユースケース)」が出てくるかどうか。

2026年1月に開始予定のMSX0 Tab5のクラウドファンディングは、MSX0が「面白いガジェット」で終わるか、「実用的なツール」になれるかの重要な試金石になるでしょう。

個人的には、「単機能デバイスをリモートから安全に管理できる」という強みを活かした、実直なIoTデバイスとしての発展を期待しています。

 

本日も最後までお読みいただきありがとうございました。

それでは、よいMSXライフを!

「MSX0はIoT市場で戦えるのか?MSX Devcon 14に参加して考えたこと」への1件のフィードバック

  1. ピンバック: LinuxでMSX0開発!msxtermを使ってIoTプログラムを作ってみる - ビューローみかみ

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