みなさん、こんにちは。
突然ですが、FPVドローンをご存じでしょうか?
「FPV」とはFirst Person View(一人称視点)の略で、ドローンに搭載されたカメラの映像をリアルタイムで見ながら操縦する技術のことです。まるで自分がドローンに乗って空を飛んでいるような、これまでにない没入感とスピード感を体験できます。
なかでも、屋内で手軽に飛ばせる小型のマイクロドローン(TinyWhoop)は、日本の厳しい法規制の中でも安心して楽しめるため人気を集めています。
私は趣味でFPVマイクロドローンを飛ばしており、非日常を体験する息抜きのひと時となっています。

みなさんにもおすすめしたいところなのですが、FPVドローンの操縦は非常に難しく、初心者の方がいきなり実機を飛ばすとすぐに壊してしまうことも少なくありません。
そこで多くの人が活用するのが、パソコン上で飛行練習ができるFPVドローンシミュレーターです。
選択肢の限られるLinuxネイティブのシミュレーター
多くのFPVドローンシミュレーターはWindowsやMac向けに開発されています。そのため、Linux環境で利用しようとすると、WineやProtonといった互換レイヤーを使う必要があり、動作が不安定になったり、パフォーマンスが低下したりする可能性があります。
そこで今回は、Linux、特にUbuntu環境でネイティブに動作するおすすめのFPVドローンシミュレーターを3つご紹介します。互換性の心配なく、快適に練習に集中できるものばかりです。
おすすめFPVドローンシミュレーター3選
1. Liftoff — 美しいグラフィックと自由なフリースタイル飛行
Liftoffは、美しいグラフィックと広大なマップが魅力のシミュレーターです。Ubuntuネイティブに対応しており、Steamから手軽にインストールできます。

単にレースを楽しむだけでなく、フリースタイル飛行でアクロバティックな技を練習したり、美しい景色の中を自由に飛び回ったりと、没入感の高いフライト体験が可能です。また、別製品の『Liftoff: Micro Drones』を使えば、マイクロドローンの練習も本格的に行えます。
- こんな方におすすめ:グラフィックの美しさを重視する方、フリースタイル飛行やアクロバットを練習したい方、マイクロドローンの練習をしたい方。
2. VelociDrone — 本格的なレース練習に最適
VelociDroneは、FPVレースに特化したシミュレーターです。実機に近いリアルな物理挙動が特徴で、多くのプロレーサーも練習に取り入れています。

購入手続き後、公式サイトからLinuxネイティブパッケージをダウンロードできます。Redhat向けとDebian向けのパッケージが配布されているので、Ubuntuの場合はDebian向けパッケージをダウンロードしましょう。Liftoffに比べると映像のリアリティが少し劣る分、軽量で比較的スペックの低いPCでも快適に動作します。公式コースやコミュニティによる豊富なコースマップが用意されており、オンラインでのマルチプレイも楽しめます。
- こんな方におすすめ:本格的にFPVレースで上達したい方、できるだけ実機に近い挙動で練習したい方、オンライン対戦を楽しみたい方。
3. FPV Freerider — 手軽に始められる軽量シミュレーター
FPV Freeriderは、シンプルで軽量なシミュレーターです。無料のデモ版が用意されており、FPVドローン操縦の第一歩を踏み出すのに最適です。

Linux版はexperimentalとなっていますが、私の環境では問題なく動作しました。低スペックなPCでもスムーズに動作するため、環境を選ばずに気軽に始められます。
ただし、マイクロドローンには対応しておらず、5インチクラスの機体での練習が中心となります。操作感がマイクロドローンと5インチドローンでは全く異なりますので、マイクロドローンの練習が目的なら他のシミュレーターを選んでください。
- こんな方におすすめ:まずはお金をかけずにFPVドローンの操縦を試してみたい方、低スペックなPCで練習したい方。
シミュレーターを最大限に活用するために
飛行モードを使いこなそう
FPVドローンには、主にAngleモードとAcroモードの2つの操縦モードがあります。
- Angleモード
- ドローンの傾きに制限がかかり、水平を維持しようとするため、比較的安定した飛行が可能です。初心者の方がまず最初に練習するのに適しています。
- Acroモード
- ドローンの傾きに制限がなく、より自由でダイナミックな飛行が可能です。フリップと呼ばれる360度回転も可能です。FPVドローンの醍醐味であるフリースタイルやレースを楽しむには必須のモードです。
まずはAngleモードで基本を学び、慣れてきたらAcroモードに挑戦するのが上達への近道です。
RCトランスミッター(送信機)を使おう
PCのキーボードやゲームパッドでも操作は可能ですが、実際のドローンを操縦するのに使うRCトランスミッター(送信機)を、USBケーブルでPCに接続して練習することをおすすめします。実機とほぼ同じ操作感で練習できるため、シミュレーターでの練習が実際のフライトスキル向上に直結します。

画像はFLYSKY公式サイトから
RCトランスミッターを使う大きな理由の一つが、スロットルの固定ができる点です。一般的なゲームパッドは、スティックから指を離すとスプリングの力で中央に戻ってしまうのに対し、RCトランスミッターのスロットルスティックは、操作した位置で固定されます。 これは、ドローンの高度維持や一定速度での飛行に不可欠な機能であり、より実践的な練習を行う上で非常に重要です。
まとめ
参考までに比較表を作成しました。
項目 | Liftoff | VelociDrone | FPV Freerider |
おすすめポイント | 美しいグラフィックと豊富なマップ。フリースタイルとマイクロドローンの練習向け。 | 本格的なレーストレーニングに最適。リアルな挙動と軽量動作が特徴。 | 無料デモ版があり、手軽に始められる。低スペックPCでも快適に動作。 |
主な用途 | フリースタイル練習、マイクロドローン練習 | レース練習、本格的なフライト練習 | 初心者の基本練習、手軽なフライト体験 |
マイクロドローン | 対応(別製品) | 対応(機体の追加購入が必要) | 非対応 |
価格 | 約19.99ドル (2025/8/9時点で2,500円) | 約16.99ポンド | 無料デモ版あり、有料版は4.99ドルから |
Ubuntu環境でも、目的に合わせて高品質なFPVドローンシミュレーターを選べます。本記事を参考に、あなたにぴったりのシミュレーターを見つけて、快適な空の旅を始めてみましょう!そして、もし気に入ったなら、ぜひ実機を飛ばしてみてくださいね。
実機を飛ばす際の必須アプリ、Tiny View Plusの記事はこちらから
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。
それでは、よいFPVドローンライフを!
【注意】
日本国内でFPVドローンを飛行させる場合、映像伝送を行うためにはアマチュア無線4級以上の資格を取得し、無線局の開局申請が必要です。これらはシミュレーターでの練習には不要ですが、実際に屋外でドローンを飛ばす際には、必ずこれらの法規制を遵守してください。