FreeCAD 1.0.0をWindowsとUbuntu 22.04にインストールしてみた話 ~3Dプリント部品のモデリング環境を整える~

みなさん、こんにちは。

最近、業務でIoTデバイスの筐体を3Dプリントする機会があり、久しぶりにFreeCADを使うことにしました。前回使ったのは半年ほど前で、そのときはまだ0.21系でしたが、気づけばFreeCADが「1.0.0」に到達していました。

調べてみると、2024年11月18日に1.0.0がリリースされ、ロゴも一新されていたのですね。

せっかくの機会なので、WindowsとUbuntu 22.04の両方に最新版のFreeCAD 1.0.0をインストールしてみました。今回はその手順と、新バージョンで注目すべきポイントをまとめてご紹介します。
※ Boshi Linux 7.0.0はUbuntu 22.04と同様にしてインストールできます。

それでは、さっそく見ていきましょう!

 


 

FreeCADとは?

 

FreeCADは、オープンソースの3D CADソフトウェアです。最大の特徴は、パラメータを指定してモデリングできる点です。パラメトリックモデリングとも呼ばれるのですが、オブジェクトの寸法や関係性を数式や拘束条件で管理できるため、後からサイズや位置を変更するのが非常に簡単です。

また、Pythonによるスクリプト制御に対応しているため、自動化や繰り返し作業に強く、IoT機器のように似た形状を複数設計したい場合にも重宝します。エンジニアにとっては、非常に柔軟で強力なツールだと言えるでしょう。


 

FreeCAD 1.0.0の主な特徴

 

長らく「0.x」バージョンだったFreeCADですが、2024年11月に待望の1.0.0がリリースされました。以下に主な変更点を挙げてみます。

●トポロジー命名の改善

FreeCADを使っていて、スケッチや押し出しを修正したとき、後続のフィーチャーが壊れてしまった経験はありませんか? 実を言うと、私はこれが嫌でしばらくFreeCADを使っていませんでした。
この「トポロジー命名問題」と呼ばれる問題が、1.0.0で大幅に改善されました。RealThunder氏による修正が本体に取り込まれたことで、モデルの安定性が大きく向上しています。
これだけで、FreeCADを1.0.0にする価値があります!

●組立ワークベンチ(Assembly)が標準搭載

従来は別途追加インストールが必要だった組立機能が、1.0.0からは標準で利用可能になりました。部品同士の位置関係や可動性を確認しながら設計できるので、複雑な構造物を作るときに非常に役立ちます。

●UIの改善と操作性の向上

UI周りも地味に改善されています。ビューの中心表示やフィルター、測定ツールの強化など、日々の操作がより快適になりました。新たに追加されたダークテーマも、長時間の作業に嬉しいポイントです。

●Python APIの強化

Python APIにも改良が加えられ、VarSetプロパティやベクトル式など、スクリプトでの制御がより柔軟になっています。自動モデリングを行う上での選択肢が広がりました。

 


 

WindowsにFreeCAD 1.0.0をインストールする方法

 

Windows環境でのインストールは非常に簡単です。

  1. 以前のバージョン(1.0未満)がインストールされている場合は、必要に応じてアンインストールします。1.0.0は別アプリとしてインストールされるため、共存も可能です。
  2. 公式サイトからインストーラーをダウンロードします。
     👉 FreeCAD_1.0.0-conda-Windows-x86_64-installer-1.exe
  3. ダウンロードしたファイルをダブルクリックするだけでインストールは完了です。

アップデートしたい場合は、新しいインストーラーを再度ダウンロードして上書きインストールすればOKです。

 


 

Ubuntu 22.04にFreeCAD 1.0.0をインストールする方法

 

Ubuntu22.04の場合、標準のaptリポジトリにはFreeCAD 0.19.2までしか含まれておらず、PPAを利用しても2025年5月時点では0.21.2までとなっています。FreeCAD公式では「AppImage」または「Snap」でのインストールが推奨されています。

●AppImageでのインストール(推奨)

  1. 公式からAppImageをダウンロードします。
     👉 FreeCAD_1.0.0-conda-Linux-x86_64-py311.AppImage
  2. 実行権限を付与します。
    chmod +x FreeCAD_1.0.0-conda-Linux-x86_64-py311.AppImage
  3. ダブルクリックで起動します。

AppImageは環境に変更を加えないため、システムを汚さずに実行できます。アップデートは新しいAppImageを再度ダウンロードするだけで済みます。

 

●Snapでのインストール(自動アップデート対応)

以下のコマンドで1.0.0のStable版をインストールできます。

sudo snap install freecad --channel=latest/stable

Snapを使えば、バージョンアップも自動で行われるので、常に最新の状態を保ちたい方には便利です。

なお、Bodhi Linux 7.0.0 は標準でSnapが無効化されています。以下の記事を参照してSnapを有効化してからインストールしてください。

 

●PPA経由のインストール(古いバージョン)

参考までに、以下の手順でPPAを追加してインストールも可能ですが、2025年5月時点では0.21.2までの対応となっています。

sudo add-apt-repository ppa:freecad-maintainers/freecad-stable
sudo apt update
sudo apt install freecad

開発版のPPAも存在しますが、バグを含む可能性があるため、業務用途での使用にはおすすめできません。

 


 

おわりに

 

FreeCAD 1.0.0は、これまで課題だった点がしっかり改善されており、非常に完成度の高いバージョンだと感じました。とくに、トポロジー命名の改善や組立機能の標準搭載によって、設計作業の信頼性と効率が一段と向上しています。

3Dプリントのために筐体をモデリングしたい方や、Pythonで自動設計したいエンジニアの方にとって、FreeCADは有力な選択肢となるはずです。今回は詳しく触れませんが、FreeCADはCAEと呼ばれる技術計算やシミュレーションや解析を行うことも可能となっています。オープンソースでここまでできる時代になったのかと、改めて感じました。

よかったら、みなさんもぜひFreeCAD 1.0.0を試してみてください。

3D CADは各社から多くの有償パッケージが市販されていますが、3Dプリンタで出力する部品のモデリング用であれば、市販品に全く劣らず、かなりおすすめできますよ。

 

本日も最後までお読みいただきありがとうございました。

それでは、よい3D CADライフを!

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