みなさん、こんにちは。
最近は「AIブラウザ」が本当に盛り上がっていますよね。OpenAIからはAtlas、PerplexityからはCometがリリースされるなど、各社がしのぎを削っています。ただ、残念ながらこれらはまだMacやWindows向け。Linuxユーザーとしては、ちょっと寂しい思いをすることもあります。
そんな中、Linuxで使えるAI統合ブラウザとして頼もしいのが Microsoft Edge です。BraveやOperaなどもAI機能を搭載していますが、実際に使ってみるとEdgeの生成機能は頭一つ抜けている印象があります。
私もここ3ヶ月ほど、Linux環境でのメインブラウザとして Microsoft Edge Dev(開発版)を愛用していたのですが……先日、起動して数秒後にクラッシュするという困った問題に直面しました。
今回は、その原因の特定と解決までの道のりをご紹介します。同じ悩みを持つ方の参考になれば嬉しいです!
発生した症状と環境
まずは私の環境と、実際に起きた症状を整理しておきます。
実行環境
- OS: Xubuntu 22.04 (Xfce4 デスクトップ環境)
- ブラウザ:
microsoft-edge-dev 145.0.3734.1-1
症状
Edge Dev を起動しようとすると、ページが表示され始めたあたりで突然ウィンドウが消えて(クラッシュして)しまいます。
原因を探るためにターミナルから起動してみたところ、コンソールに以下のような不穏なログが出ていました。
[ERROR:media/gpu/vaapi/vaapi_wrapper.cc:1649] Installed VAAPI version is too old. min supported version: 1.17 installed version: 1.14
[ERROR:third_party/crashpad/crashpad/snapshot/elf/elf_dynamic_array_reader.h:64] tag not found
[ERROR:third_party/crashpad/crashpad/util/file/directory_reader_posix.cc:43] opendir /home/USER/.config/microsoft-edge-dev/Crash Reports/attachments/...: No such file or directory (2)
この「Installed VAAPI version is too old」というメッセージ。どうやらここが怪しそうです。
そもそも VAAPI って何?
ここで少しだけ技術的なお話です。
VAAPI(Video Acceleration API)は、Linux上でGPUを使って動画のハードウェアデコード・エンコードを行うための仕組みです。
ブラウザや動画プレイヤーがこのVAAPIを利用することで、重たい動画処理をCPUではなくGPUに任せることができます。その結果、動作が軽くなり、バッテリー持ちも良くなるというわけです。
VAAPIのバージョンは vainfo コマンドを使って確認することができます。Xubuntu 22.04 で実行してみた結果はこちら。
$ vainfo
libva info: VA-API version 1.14.0
...
vainfo: VA-API version: 1.14 (libva 2.12.0)
ログに書かれていた通り、Xubuntu 22.04 のVAAPIは 1.14 でした。
クラッシュの犯人は「バージョンの不一致」
ログを読み解くと、原因は非常にシンプルでした。
1. Edge Dev 145 が VAAPI 1.17 以上を要求
Edge Dev 145 の内部コードでは、VAAPIの最小サポートバージョンが 1.17 に引き上げられていました。そのため、私の環境(1.14)を「古すぎて使えない!」と判断し、エラーを出して停止していたのです。
2. なぜ「急に」動かなくなったのか?
以前のバージョン(143系など)では、VAAPIが古くても「警告」だけで済ませたり、自動的にCPU処理に切り替えたり(フォールバック)してくれていたと思われます。実際、143系でも以下のエラーは出力されていました。
[ERROR:media/gpu/vaapi/vaapi_wrapper.cc:1650] Installed VAAPI version is too old. min supported version: 1.17 installed version: 1.14
しかし、最新のアップデートでChromium側のコアが更新された際、この要件が厳格化され、古いVAAPI環境では致命的なエラーとしてプロセスごと落ちる挙動に変わってしまったと考えられます。
どうやって解決する?3つの対処法
この問題に対処するための方法はいくつかあります。
対処法①:安定版(Stable)に切り替える
もっとも確実で手っ取り早い方法です。
現在提供されている安定版(microsoft-edge-stable 143.0.3650.96-1)は、エラーログは出力されるものの、VAAPI 1.14 の環境でも問題なく動作します。
「開発版の新機能にこだわらないよ」という方は、一度 Stable 版に戻すのが一番ストレスがありません。
対処法②:OSやライブラリをアップデートする
根本的に解決するには、OS側のVAAPI(libva)を 1.17 以上に上げる必要があります。
- Ubuntu 24.04 などの新しいディストリビューションへアップグレードする。
- 最新のライブラリが含まれるリポジトリ(PPAなど)から
libva2を導入する。
ただ、OSのバージョンを固定している場合は少しハードルが高いかもしれません。私は業務の関係でアップグレードできないので断念しました。
対処法③:キャッシュの削除(一時しのぎ)
プロファイルの不整合を疑う場合、~/.cache/microsoft-edge-dev を削除することで一時的に起動できるようになるケースもあります。
私の環境ではウェルカムページまでは表示されましたが、結局ハードウェア支援が必要なページで不安定になったため、最終的には Stable 版に戻しました。
まとめ
今回のトラブルのポイントをまとめるとこんな感じです。
| 項目 | 内容 |
| 症状 | Edge Dev 145 が Linux で即クラッシュする |
| 原因 | VAAPI 1.17 以上が必要なのに、環境が 1.14 だったため |
| 対処法 | 安定版(Stable)を使うか、OS/ライブラリを更新する |
ひょっとすると今後のアップデートでまた動くようになる可能性もありますが、VAAPI 1.17 以上が必須要件になりつつある流れは間違いなさそうです。
もし、「最近急にEdgeが立ち上がらなくなった……」とお困りのLinuxユーザーの方がいたら、ぜひターミナルで vainfo を叩いてバージョンをチェックしてみてください!
本日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。
それでは、よいLinuxライフを!



