PowerToys コマンドパレットは常駐させる意味があるのか?実際に使って分かったメリット・デメリット

みなさん、こんにちは。

Windows 11のカスタマイズツールとして絶大な人気を誇るPowerToys。その中でも特にMacのSpotlightやVS Codeのコマンドパレットのような高い汎用性を持つ機能が「PowerToys Run」、そしてその機能増強版とも言える「コマンドパレット」です。

前回、PowerToys Run と コマンドパレット を使った便利な機能についてご紹介しました。

https://www.bureau-mikami.jp/win11-powertoys-clipboard-search/

PowerToys Run とは別にコマンドパレットを常に呼び出せる状態(常駐)にしておくことは、本当に私たちの作業効率を高めてくれるのでしょうか?

今回は、筆者自身がコマンドパレットを日常的に使い込んでみて分かった、明確なメリットと、正直「微妙」と感じたデメリットを包み隠さずご紹介します。

 


 

コマンドパレットとは?その基本的な機能

 

コマンドパレットは、デフォルトでは Win + Alt + Space のショートカットで呼び出せる、小さな検索バーのようなインターフェースです。

コマンドパレットの画面

この検索窓にキーワードや特定の記号を入力するだけで、以下のような多岐にわたるアクションを実行できます。

  1. アプリの検索と起動
  2. ファイル、フォルダの検索とオープン
  3. システムコマンドの実行
  4. 簡単な計算
  5. Windows Package Manager (Winget) の操作
  6. クリップボード履歴の検索と貼り付け(プラグイン利用)

まさに、Windows操作の「ハブ」となる機能と言えるでしょう。

 


 

常駐させる価値あり!コマンドパレットでしかできない、明確に手間が減る5つのメリット

 

コマンドパレットが既存の操作方法と一線を画し、「常駐させる価値がある」と断言できるのは、以下の5つのポイントで作業の手間を劇的に削減してくれるからです。

1. ストレスフリーなアプリの検索と起動

スタートメニューを開く必要がなくなります。

通常、あまり使わないアプリを起動するには「スタートメニューを開く→検索窓に数文字入力→アイコンをクリック」という手順が必要です。しかし、コマンドパレットなら Win + Alt + Space で呼び出し、そのままアプリ名を数文字入力し、 Enter を押すだけで起動できます。

特に効果的なシーン:

「たまにしか使わないPowerShell」「設定アプリの中にある詳細な項目」「階層の深い場所にある管理ツール」など、スタートメニューから辿るのが面倒なアプリ・ツールを探すときに、その真価を発揮します。

2. システムコマンドや特殊フォルダへの即時アクセス

これが筆者が最も重宝している機能かもしれません。特定の記号(例:>)を付けて入力することで、設定アプリやコントロールパネルを探す手間が大幅に削減されます。

入力コマンド実行されるアクション
> cmdコマンドプロンプトの起動
> shell:startupWindowsのスタートアップフォルダを開く
> regeditレジストリエディタの起動
> controlコントロールパネルの起動
コマンドパレットでコマンド実行
> shell: と入力すると関連するコマンドを表示

3. 計算ツールとしての圧倒的な手軽さ

電卓アプリを起動する必要はもうありません。

コマンドパレットで計算ツールを呼び出し、そのまま計算式を入力するだけで、瞬時に答えが表示されます。

  • 120*1.1132 (税込価格の算出などに最適)
  • sqrt(25)5 (複雑な計算も可能)

「ちょっとした計算がしたい」という瞬間に、手の動きをキーボードから離さずに完結できるのは非常に快適です。

コマンドパレット_計算
計算ツールで計算を実行

4. Winget (Windows Package Manager) をGUIで

ソフトウェアのインストールや更新をコマンドラインで行うWingetを常用している方には朗報です。

コマンドパレットのWingetの検索で winget install xxx のようなWingetコマンドを直接検索・実行できます。GUI(グラフィカルユーザーインターフェース)でソフトウェアの管理を完結できるのは、コマンドパレットならではの強力な機能です。

コマンドパレット_Winget
GUIでWinget

5. 高い検索性を誇るクリップボード履歴

PowerToys Runのプラグインとして「Clipboard Manager」を有効化すると、Windows標準の Win + V で表示されるクリップボード履歴よりも、さらに高機能な履歴管理が可能になります。

  • テキストの検索性が高い
    • 過去にコピーしたテキストの中から、特定のキーワードで検索して貼り付けることができます。長文や複数の情報をまとめてコピー&ペーストする際に非常に便利です。
  • 画像の取り扱い
    • PowerToys Run単独では難しい画像もクリップボード履歴として扱えるため、スクリーンショットを頻繁に利用する方にもおすすめです。
コマンドパレットでクリップボード履歴を検索
クリップボード履歴を検索

 


 

正直、微妙に感じた3つのデメリットと注意点

 

「万能」に見えるコマンドパレットにも、実際に使ってみて「ここは既存の機能の方が速い、または混乱する」と感じた点がありました。

1. 既存のショートカットとの機能重複

コマンドパレットの機能の多くは、実はWindowsに元々存在するショートカットや機能で代替可能です。

コマンドパレットの機能代替可能な既存操作
アプリ起動タスクバーへの固定+Win + 数字(例:Win + 1で左から1番目のアプリ起動)
計算Windowsの検索バー(Win + S)やブラウザの検索窓
アプリケーションの切り替えAlt + Tab

「とにかくキーボード操作で完結したい」というニーズがなければ、既存のショートカットの方が指が慣れていて速いケースも多いかもしれません。

2. 操作の重複や直感的でない挙動で混乱

使い始めの頃は、操作が直感的でないと感じる場面がいくつかありました。

  • 新規起動 vs. 既存ウィンドウへの切り替え
    • Excelと入力して Enter を押すと、基本的に新規のExcelを起動します。
    • すでに起動しているExcelのウィンドウに切り替えたい場合、検索結果に表示される「開いている Windows 間を切り替える」という操作を選択しなければならず、ワンテンポ遅れます。
  • 意図しないアプリ起動
    • 特定のファイル名を入力したいのに、同名のアプリが検索結果で優先され、意図せずアプリが起動してしまうことがあります。

3. 「呼び出し→入力→選択」の手間

結局、コマンドパレットを使うには、

  1. Win + Alt + Space呼び出す
  2. キーワードを入力
  3. 目的の項目を矢印キーで選択
  4. Enter実行

という流れが必要です。単純に「今使っているアプリを切り替える」「タスクバーにあるアプリを起動する」という操作であれば、マウスでタスクバーをクリックしたり、Alt + Tab で切り替えたりする方が、脳の思考を中断することなく、瞬間的に完結できることが多いです。

 


 

結論 – 常駐させる意味はあるのか?導入判断チェックリスト

 

ここまでメリットとデメリットを見てきましたが、最終的な結論として「コマンドパレットでしかできない操作」を日常的に使う人にとって、常駐させる価値は高いと言えます。

自分の利用スタイルをチェックする以下のリストで、導入の是非を判断してみてください。

チェック項目該当度
コマンドや特殊フォルダshell:startupなど)を頻繁に呼び出す
Winget を使ってアプリのインストールや管理を日常的に行っている
クリップボード履歴検索して使いたい、または画像を含めて管理したい
アプリの起動やシステムへのアクセスをマウス操作ではなくキーボードで完結させたい
普段使わないが、PC内に存在するアプリの検索をストレスなく行いたい

【導入の判断基準】

  • 2つ以上当てはまる場合
    • コマンドパレットを常駐させる価値は十分にあります。作業効率が向上し、Windowsがより快適になるでしょう。
  • 1つ以下の場合
    • 単純なアプリ起動や切り替えが主な用途であれば、既存のタスクバーやショートカットキー(Win + 数字、Alt + Tab)の方が、操作に慣れており速い可能性が高いです。

 


 

まとめ

 

コマンドパレットは、単なるアプリランチャーではなく、システムコマンドの実行、高度なクリップボード管理、Winget操作など、Windows操作の「ワンストップハブ」としての役割を果たします。

既存の操作との重複で混乱するデメリットもありますが、特定の上級者向けの操作を簡略化する強力なメリットは、それを補って余りあるものです。ぜひ、一度導入して、自分の作業スタイルに合うかどうかを試してみてください。

 

本日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

それでは、よいWindowsライフを!

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