みなさん、こんにちは。
Windows 11のカスタマイズツールとして絶大な人気を誇るPowerToys。その中でも特にMacのSpotlightやVS Codeのコマンドパレットのような高い汎用性を持つ機能が「PowerToys Run」、そしてその機能増強版とも言える「コマンドパレット」です。
前回、PowerToys Run と コマンドパレット を使った便利な機能についてご紹介しました。
PowerToys Run とは別にコマンドパレットを常に呼び出せる状態(常駐)にしておくことは、本当に私たちの作業効率を高めてくれるのでしょうか?
今回は、筆者自身がコマンドパレットを日常的に使い込んでみて分かった、明確なメリットと、正直「微妙」と感じたデメリットを包み隠さずご紹介します。
コマンドパレットとは?その基本的な機能
コマンドパレットは、デフォルトでは Win + Alt + Space のショートカットで呼び出せる、小さな検索バーのようなインターフェースです。

この検索窓にキーワードや特定の記号を入力するだけで、以下のような多岐にわたるアクションを実行できます。
- アプリの検索と起動
- ファイル、フォルダの検索とオープン
- システムコマンドの実行
- 簡単な計算
- Windows Package Manager (Winget) の操作
- クリップボード履歴の検索と貼り付け(プラグイン利用)
まさに、Windows操作の「ハブ」となる機能と言えるでしょう。
常駐させる価値あり!コマンドパレットでしかできない、明確に手間が減る5つのメリット
コマンドパレットが既存の操作方法と一線を画し、「常駐させる価値がある」と断言できるのは、以下の5つのポイントで作業の手間を劇的に削減してくれるからです。
1. ストレスフリーなアプリの検索と起動
スタートメニューを開く必要がなくなります。
通常、あまり使わないアプリを起動するには「スタートメニューを開く→検索窓に数文字入力→アイコンをクリック」という手順が必要です。しかし、コマンドパレットなら Win + Alt + Space で呼び出し、そのままアプリ名を数文字入力し、 Enter を押すだけで起動できます。
特に効果的なシーン:
「たまにしか使わないPowerShell」「設定アプリの中にある詳細な項目」「階層の深い場所にある管理ツール」など、スタートメニューから辿るのが面倒なアプリ・ツールを探すときに、その真価を発揮します。
2. システムコマンドや特殊フォルダへの即時アクセス
これが筆者が最も重宝している機能かもしれません。特定の記号(例:>)を付けて入力することで、設定アプリやコントロールパネルを探す手間が大幅に削減されます。
| 入力コマンド | 実行されるアクション |
> cmd | コマンドプロンプトの起動 |
> shell:startup | Windowsのスタートアップフォルダを開く |
> regedit | レジストリエディタの起動 |
> control | コントロールパネルの起動 |

3. 計算ツールとしての圧倒的な手軽さ
電卓アプリを起動する必要はもうありません。
コマンドパレットで計算ツールを呼び出し、そのまま計算式を入力するだけで、瞬時に答えが表示されます。
120*1.1→ 132 (税込価格の算出などに最適)sqrt(25)→ 5 (複雑な計算も可能)
「ちょっとした計算がしたい」という瞬間に、手の動きをキーボードから離さずに完結できるのは非常に快適です。

4. Winget (Windows Package Manager) をGUIで
ソフトウェアのインストールや更新をコマンドラインで行うWingetを常用している方には朗報です。
コマンドパレットのWingetの検索で winget install xxx のようなWingetコマンドを直接検索・実行できます。GUI(グラフィカルユーザーインターフェース)でソフトウェアの管理を完結できるのは、コマンドパレットならではの強力な機能です。

5. 高い検索性を誇るクリップボード履歴
PowerToys Runのプラグインとして「Clipboard Manager」を有効化すると、Windows標準の Win + V で表示されるクリップボード履歴よりも、さらに高機能な履歴管理が可能になります。
- テキストの検索性が高い
- 過去にコピーしたテキストの中から、特定のキーワードで検索して貼り付けることができます。長文や複数の情報をまとめてコピー&ペーストする際に非常に便利です。
- 画像の取り扱い
- PowerToys Run単独では難しい画像もクリップボード履歴として扱えるため、スクリーンショットを頻繁に利用する方にもおすすめです。

正直、微妙に感じた3つのデメリットと注意点
「万能」に見えるコマンドパレットにも、実際に使ってみて「ここは既存の機能の方が速い、または混乱する」と感じた点がありました。
1. 既存のショートカットとの機能重複
コマンドパレットの機能の多くは、実はWindowsに元々存在するショートカットや機能で代替可能です。
| コマンドパレットの機能 | 代替可能な既存操作 |
| アプリ起動 | タスクバーへの固定+Win + 数字(例:Win + 1で左から1番目のアプリ起動) |
| 計算 | Windowsの検索バー(Win + S)やブラウザの検索窓 |
| アプリケーションの切り替え | Alt + Tab |
「とにかくキーボード操作で完結したい」というニーズがなければ、既存のショートカットの方が指が慣れていて速いケースも多いかもしれません。
2. 操作の重複や直感的でない挙動で混乱
使い始めの頃は、操作が直感的でないと感じる場面がいくつかありました。
- 新規起動 vs. 既存ウィンドウへの切り替え
- Excelと入力して Enter を押すと、基本的に新規のExcelを起動します。
- すでに起動しているExcelのウィンドウに切り替えたい場合、検索結果に表示される「開いている Windows 間を切り替える」という操作を選択しなければならず、ワンテンポ遅れます。
- 意図しないアプリ起動
- 特定のファイル名を入力したいのに、同名のアプリが検索結果で優先され、意図せずアプリが起動してしまうことがあります。
3. 「呼び出し→入力→選択」の手間
結局、コマンドパレットを使うには、
Win + Alt + Spaceで呼び出す- キーワードを入力
- 目的の項目を矢印キーで選択
Enterで実行
という流れが必要です。単純に「今使っているアプリを切り替える」「タスクバーにあるアプリを起動する」という操作であれば、マウスでタスクバーをクリックしたり、Alt + Tab で切り替えたりする方が、脳の思考を中断することなく、瞬間的に完結できることが多いです。
結論 – 常駐させる意味はあるのか?導入判断チェックリスト
ここまでメリットとデメリットを見てきましたが、最終的な結論として「コマンドパレットでしかできない操作」を日常的に使う人にとって、常駐させる価値は高いと言えます。
自分の利用スタイルをチェックする以下のリストで、導入の是非を判断してみてください。
| チェック項目 | 該当度 |
コマンドや特殊フォルダ(shell:startupなど)を頻繁に呼び出す | |
| Winget を使ってアプリのインストールや管理を日常的に行っている | |
| クリップボード履歴を検索して使いたい、または画像を含めて管理したい | |
| アプリの起動やシステムへのアクセスをマウス操作ではなくキーボードで完結させたい | |
| 普段使わないが、PC内に存在するアプリの検索をストレスなく行いたい |
【導入の判断基準】
- 2つ以上当てはまる場合
- コマンドパレットを常駐させる価値は十分にあります。作業効率が向上し、Windowsがより快適になるでしょう。
- 1つ以下の場合
- 単純なアプリ起動や切り替えが主な用途であれば、既存のタスクバーやショートカットキー(Win + 数字、Alt + Tab)の方が、操作に慣れており速い可能性が高いです。
まとめ
コマンドパレットは、単なるアプリランチャーではなく、システムコマンドの実行、高度なクリップボード管理、Winget操作など、Windows操作の「ワンストップハブ」としての役割を果たします。
既存の操作との重複で混乱するデメリットもありますが、特定の上級者向けの操作を簡略化する強力なメリットは、それを補って余りあるものです。ぜひ、一度導入して、自分の作業スタイルに合うかどうかを試してみてください。
本日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。
それでは、よいWindowsライフを!



