VM環境でのWSL2安定運用 – VirtualBoxからVMware Workstation Proへの移行

みなさん、こんにちは。

最近、VM環境の安定性にお悩みではありませんか?

長年、Windows仮想マシンをLinuxホスト上のVirtualBoxで運用していましたが、VirtualBox 7.xにアップデートしたところ、WSL2が不安定になる問題に直面しました。起動に失敗したり、動作中にフリーズしたりと、開発作業に大きな支障が出てしまったのです。

かなりこの問題と向き合ったのですが、根本的な解決策が見つからず、今回、思い切って別の仮想化ツールへの移行を決断しました。

最終的にVMware Workstation Proにたどり着いた経緯と、その移行手順をご紹介します。

 


 

なぜVirtualBoxでWSL2は不安定になるのか?

 

WSL2は、内部的にHyper-Vベースの軽量VMを利用しています。このため、仮想マシン上でWSL2を動かすには、入れ子仮想化(nested virtualization)が必要です。

しかし、VirtualBox 7.x系は、この入れ子仮想化の安定性に問題を抱えていました。特にAMD環境では顕著でしたが、Intel環境でも同様に不安定な動作が確認されています。開発環境として必要な安定性を確保できなくなり、別の仮想化ツールを検討せざるを得ませんでした。

 


 

KVM/QEMUを断念した理由 – Wi-Fi環境でのブリッジ接続

 

まず移行先として検討したのが、Linuxホストで高い性能と安定性を誇るKVM/QEMUです。nested virtualizationにも対応しており、非常に魅力的な選択肢でした。

しかし、私の環境はノートPC+Wi-Fiです。この環境では、KVMの標準的なブリッジ接続がそのままでは使えませんでした。代替としてmacvtapを使う方法もありますが、LAN内の通信が片方向になるなど、開発用途では不便な制約が多いことが判明。

LAN内の他マシンからWindowsゲストにアクセスできる環境が必須だったため、KVM/QEMUは残念ながら断念しました。

 


 

VMware Workstation Proを選んだ決め手

 

最終的にたどり着いたのが、2024年11月に商用利用も含めて完全に無償化されたVMware Workstation Proです。

VMware Workstation Proを選んだ理由は、以下の3つの要件をすべて満たしていたからです。

  • Wi-Fi環境でもブリッジ接続が可能:LAN内の他マシンからWindowsゲストへ直接アクセスできます。
  • nested virtualizationが安定:WSL2が問題なく動作します。
  • VirtualBoxからの移行が容易:既存のVirtualBoxイメージを変換してそのまま利用できます。

 


 

VirtualBoxからVMware Workstation Proへの移行手順

 

VirtualBoxの仮想マシンをVMware Workstation Proへ移行する手順は、非常にシンプルです。

1. ディスクイメージの変換

まずはVirtualBoxのディスクイメージ(VDI)を、VMware形式(VMDK)に変換します。VBoxManageコマンドを使用します。

VBoxManage clonemedium --format vmdk windows-dev.vdi windows-dev.vmdk

2. 新規VMの作成とディスクの差し替え

次に、VMware Workstation Proで新規仮想マシンを作成します。

  1. VMware Workstation Proで新規VMを作成(OSはWindowsを選択)。
  2. このとき作成される仮想ディスクはダミーなので、後で削除します。
  3. VM作成後、仮想マシン設定からダミーのディスクを削除し、先ほど変換したwindows-dev.vmdkを追加します。

3. ネットワーク設定

最後にネットワークアダプターをブリッジ接続(vmnet0)に設定します。Wi-Fiアダプターを明示的に選択することも可能です。

以上の設定でVMを開始したところ、無事にWSL2が正常に動作するWindowsが起動しました。

 


 

LinuxホストでVMware Workstationを使う際の注意点

 

OSの再起動後、VMware WorkstationからVMを起動しようとしたところ、トラブルに遭遇しました。「vmmonがロードされていない」というエラーが表示され、VMが起動しないのです。

これは、Linux版VMware Workstationのモジュールが起動時に自動でロードされないことがあるためです。以下の設定で解決できます。

/etc/modules-load.d/vmware.confというファイルを作成し、以下の内容を記述してください。

vmmon
vmnet

この設定により、再起動時にモジュールが自動でロードされ、VMが正常に起動できるようになります。

 


 

まとめ

 

今回の移行は、単なる仮想化ツールの乗り換えではありません。

  • WSL2の安定運用
  • Wi-Fi環境でのブリッジ接続
  • LAN内通信の必要性

この3つの要件をすべて満たすための、現実的な選択でした。VirtualBoxでWSL2の不安定さに悩まされている方や、私と同じようにWi-Fiノート環境で開発を行っている方にとって、VMware Workstation Proは非常に有力な選択肢となるはずです。

より安定した開発環境を構築したいと考えている方は、ぜひ移行を検討してみてはいかがでしょうか?

 

本日も最後までお読みいただきありがとうございました。

それでは、よいVMライフを!

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