みなさん、こんにちは。
2025年10月9日、新しいバージョンのUbuntu 25.10がリリースされました!もちろん、私が日頃から愛用している軽量ディストリビューション、Xubuntuも無事に25.10がリリースされました。
今回のUbuntu 25.10の最大のトピックといえば、なんといってもWaylandの既定化と、長年お世話になってきたXorgセッションの削除ではないでしょうか。
メインのUbuntu(GNOME)ではいよいよ本格的にWayland時代に突入したわけですが、では私たちXubuntuユーザーは、この波にどう乗ればいいのでしょうか? Xfce環境でWaylandはどの程度のレベルにまで達しているのでしょうか?
気になった私は、早速クリーンインストールを行い、Xfce4をWaylandで動かすべく試してみました!
結論から言うと、Waylandで安定運用できたのは現時点ではGNOMEのみです…。
今回は、Xubuntu 25.10でWayland移行に挑んだリアルな検証結果と、そこから見えてきた「現実」をお届けします。
試した環境と目的
まず、今回の検証環境と目的を整理します。
項目 | 詳細 |
ディストリビューション | Xubuntu 25.10(クリーンインストール) |
追加導入 | gdm(ログインマネージャー)、Enlightenment、Wayfire(Waylandコンポジタ) |
目的 | Xfce4をWaylandセッションで日常運用可能なレベルにすること |
ご存じの通り、Xubuntu 25.10のXfce4環境は、Xorgが推奨で、Waylandセッションは「Experimental(実験的)」扱いです。だからこそ、「何とか動かしたい!」と試行錯誤しました。
検証結果のサマリー – 安定したのはGNOMEだけ
検証結果を要約すると以下の通りです。
デスクトップ環境 | Waylandセッションの安定性 | 備考 |
GNOME | ◎ 安定 | ログイン、日常操作、画面共有、IME、クリップボードなど、全て安定して実用可能。 |
Enlightenment | △ 不安定 | ログインは可能だが、アプリケーションが頻繁にクラッシュ。実用には厳しいレベル。 |
Xfce4 | × 起動不可 | ログイン画面からセッションを選択しても、起動途中で失敗し、グリーティング(ログイン画面)に戻ってしまう。 |
残念ながら、私の本命であるXfce4は起動すらさせられませんでした。
Wayland起動へのトライ&エラー記録(Xfce4編)
どうにかXfce4をWaylandで動かそうと、様々な設定変更に挑みました。
ログインマネージャーの変更(LightDM → GDMへ)
Xubuntu標準のLightDMでもWaylandセッションの選択肢は表示されました。しかし、起動はできませんでした。

LightDMでは認識や環境変数の注入が不安定になりがちなので、GNOME Display Manager (GDM)に切り替えてみました。

GNOMEやEnlightenmentは起動するようになりましたが、Xfce4はセッションが表示されても起動ルートが欠落しており、ログイン画面に戻されるだけでした。

セッションファイルと起動コマンドの試行
セッションファイル(/usr/share/wayland-sessions/xfce.desktop
的なファイル)を自作・修正し、様々な起動コマンドを試しました。
試行 | 起動コマンド (Exec) | 結果 | 推定される問題点 |
試行1 | startxfce4 --wayland | ログイン画面へ戻る | 環境変数の不足やセッション管理の不整合。 |
試行2 | env XDG_SESSION_TYPE=wayland startxfce4 | 同様に失敗 | D-Bus初期化の順序など、起動プロセスに問題がある可能性。 |
試行3 | dbus-run-session -- wayfire | Wayfireは起動するが… | Xfceのセッション管理 (xfce4-session )がWayland前提の起動経路を持たないため、パネルやデスクトップが自動起動せず、ログイン画面に戻る。戻ったログイン画面ではキーボード入力が効かなくなり、再起動必須に! |
環境変数や起動オプション、Waylandコンポジタ(Wayfire)の組み合わせなど、考えられる手は尽くしましたが、「Xfceのデスクトップ」としてパネルやデスクトップが起動し、日常操作ができる状態には全くたどり着けませんでした…残念!
考察 – なぜXfce4はWaylandで実用化が難しいのか?
今回の検証から、XfceのWayland移行の難しさが見えてきました。
- セッション管理の根幹がXorg前提
- Xfceの中核である
xfce4-session
は、これまでの歴史からXorg前提で設計されています。Waylandコンポジタと連携し、デスクトップ環境全体を初期化する「Wayland前提の起動経路」がまだ未成熟だと推測されます。
- Xfceの中核である
- コンポジタ依存の深さと統合度の問題
- 汎用コンポジタ(Wayfireなど)は起動できても、デスクトップ環境(DE)としての統合度(ポータル、IME、通知、クリップボード、セッション復元など)が、GNOMEやKDEと比較してまだまだ低いのが現状です。
驚きと今後の利用方針
Ubuntu 25.10でXorgセッションが削除されたことは、大胆ではあるものの、XubuntuやLXQtなどの軽量フレーバー利用者にとっては「現実的ではない判断」だと感じました。
GNOMEとKDEはWaylandでの完成度が高く、業務利用にも耐えられますが、他フレーバーは現状「検証用途」に留めるしかないというのが正直な感想です。
今後の利用方針
用途 | 推奨環境 | 理由 |
本番・業務運用 | Xubuntu 22.04 / 24.04(LTS) | X11セッションで堅牢に動作するXfce4を継続利用。安定性最優先。 |
Wayland機能検証 | Ubuntu 25.10 (GNOME Wayland) | Waylandの機能や将来性を見通すための評価環境として利用。 |
個人的な移行の判断軸は、以下の4点が全て安定することです。
- クリップボード
- IME
- 画面共有
- セッション復元
まとめ
色々と試した結果、残念ながらXfce4のWaylandセッションは起動に至りませんでした。
セッションファイルの修正、Wayfireの導入、GDMへの切替など、段階的に検証を重ねましたが、「Xfceデスクトップとしての完成」には全く届かないというのが実情です。
現状、Waylandで実用的に使えるのは、GNOME(次点でKDE)に限られます。XubuntuやLXQtなどの軽量DEユーザーにとって、Ubuntu 25.10へのWayland移行は時期尚早です。当面はLTS(長期サポート版)のX11セッションで堅牢に運用するのが、最も現実的で賢明な選択と言えるでしょう。
ビューローみかみでは、今回のような検証結果に基づき、Linuxを用いた業務効率化のお手伝いをしています。もし、業務に最適なLinuxデスクトップ環境の選定や、安定した移行にご興味がありましたら、お気軽にご相談ください。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。
それでは、よいUbuntuライフを!