みなさん、こんにちは。
先日、日経クロステック主催の「Japan DX/AI Conference 福岡」に参加してきました。当日は36度を超える猛暑だったのですが、登壇者の皆さんも気温に負けないくらい熱い講演をされていました。
今回は、そのセミナーで得た多くの気づきを共有させてください。
とりわけ印象的だったのが、「ITレガシー問題対策」に関するセッションです。
テーマは、メインフレームからクラウドへの移行や、AI時代に向けたシステム刷新について。ソフトバンク社やアクセンチュア社から最新の取り組みが紹介され、「AI Ready(AIを活用できる状態を整えること)」という言葉も何度も登場していました。
多くの参加者にとっては、「COBOLからJavaへ」「オンプレからクラウドへ」といった技術的なトピックが目を引いたかもしれません。
でも、私が一番心に刺さったのは、ソフトバンク社の講演で語られたこの一言でした。
システムが動いているうちに、その「なぜ動いているか」というロジックや目的を、新しいシステムへ引き継ぐことが重要である。
これこそが、モダナイゼーションの本質なんだと感じさせられました。
モダナイゼーションを単なる「書き換え」だと思っていないか?
「モダナイゼーション」と聞くと、多くの人はプログラム言語の変換をイメージすると思います。
- COBOLからJavaへ
- メインフレームからクラウドへ
- バッチ処理をリアルタイム処理へ
もちろん、これらも大切です。
でも、それだけだと単なる「技術の置き換え」で終わってしまいます。
本当に引き継がないといけないのは、そのシステムが長年支えてきた「業務の考え方」です。
- なぜ、この処理が必要なのか?
- なぜ、この順番で実行するのか?
- なぜ、このタイミングで人が確認するのか?
長年運用されてきたシステムには、こうした業務知識や工夫がたくさん埋め込まれています。
もしコードだけを書き換えて、その背景にある設計思想を捨ててしまったらどうでしょう。新しいシステムは「一見同じように動くけれど、本当の意味では別物」になってしまいます。
AIはコードを書けても、「なぜ」までは分からない
アクセンチュア社の講演では、生成AIを使ったレガシーコードの変換がものすごいスピードで進化している、という話がありました。
確かに、今のAIはコードを読み解いて変換するのがめちゃくちゃ得意です。
でも、AIが得意なのは「どう書かれているか」を理解することだけです。
- 「なぜ、この設計になっているのか?」
- 「なぜ、この例外処理が必要だったのか?」
- 「なぜ、この業務フローを採用したのか?」
といった「背景や理由」までは分かりません。ソースコードというのは、過去の決定事項という「結果」を論理的に書き下した記述に過ぎないからです。
だからこそ、私たち人間が残すべき価値は、コードそのものではなく、その背後にある「設計思想」なんだと思います。
ブラックボックスを作らない、という視点
セミナーの中では、「ブラックボックスを作らない」という話もすごく印象的でした。
これは、プログラムだけの話にあらず。
- 担当者しか分からない運用
- ベテランだけが知っている判断基準
- 口伝えで受け継がれるノウハウ
こうした「暗黙知」も、AIから見れば全部ブラックボックスです。
AIを活用する時代だからこそ、後から見ても「説明できる形」で知識を残しておくことが、これまで以上に大切になってきます。
このあたりのことはエリック・エヴァンスの名著を読めば理解が深まるのですが、少しハードルが高いのが難点。
私が取り組む医療・介護DXの現場でも同じ
私は日頃、医療・介護現場向けのIoTシステムを設計しています。
その中でずっと意識しているのは、「AIに判断を丸投げする」のではなく、「人間が正しく判断できる材料を提供する」ということです。
たとえば、医療機器のアラームが鳴ったという「事実」だけを通知するのは簡単です。でも、それだけだと看護スタッフは次にどう動けばいいか判断できません。
大切なのは、
- その前後で何が起きていたのか?
- アラームがどう変化してきたのか?
- 他の情報と組み合わせると何が見えるのか?
という「文脈」です。
つまり、「点」のデータではなく、「線」で状況を把握できる情報を残すことが欠かせません。
これはセミナーで紹介されていた「業務プロセスのデジタルツイン(業務や状況の全体像をデジタル上に再現・可視化する考え方)」とも、まさにぴったり重なります。
単にシステムを置き換えるのではなく、業務そのものを理解して再設計する。そのためには、システムの動作だけでなく、背景にある「目的」や「判断基準」までしっかり見える化していく必要があります。
AI時代だからこそ、残すべきもの
AIの進化スピードは本当に早くて、昨日できなかったことが今日にはできるようになる時代です。
プログラミング言語も、開発手法も、使うクラウドも、これから何度も変わっていくはずです。しかし、時代が変わっても「変えてはいけないもの」があります。
それこそが、「なぜこの仕組みにしたのか」という設計思想です。
技術は移り変わります。コードもどんどん書き換えられます。けれど、「なぜそう設計したのか」という思いや理由は、私たちが言葉として残さないと消えてしまいます。
AIにも、未来の仲間にもちゃんと説明できる「設計思想」を残せる組織こそが、変化の激しいこれからの時代を生き抜いていけるのではないでしょうか。
みなさんは、どう考えますか?
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気になることがあればお気軽にご相談ください。
本日も最後まで読んでいただきありがとうございました!
それでは、よいシステム開発を!



