WordCraftとGridCraftはMicrosoft Officeの代替になるのか?実在する申請書と履歴書で検証してみた

みなさん、こんにちは。

つい先日、Adobe Creative CloudをAIを活用してオープンソースで作り直すプロジェクト「Artcraft」が大きな話題になりましたよね。

参考:無料のAdobe代替アプリ集「ArtCraft Crafting Apps」、オープンソースでPhotoshop・Illustrator・Premiere・Lightroom・Acrobat・After Effects・InDesignの代替を目指す

さらに、「Artcraft」の派生として、Microsoft WordやExcelの代替を目指すOSSである「WordCraft」や「GridCraft」も発表され、世界中のオフィスワーカーから注目を集めています。Adobe製品はクリエイター中心ですが、WordやExcelとなると影響力は段違い。しかもRustで開発されており、WindowsやLinuxでネイティブ動作するという点もエンジニア心をくすぐられます。

参考:Microsoft Wordの代替を目指すオープンソースの文書作成アプリ「WordCraft」、Rust製ネイティブアプリでAIエージェントでの使用も考慮

多くのテック系メディアでも取り上げられていますが、GitHubの概要を紹介する記事がほとんどで、実際の業務文書を読み込ませた検証記事はほとんど見当たりません。

そこで今回は、

  • ハローワークの履歴書様式(Excel)
  • 沼津市まちづくりファンド事業の応募申請書(Word)

という実在する本格的な文書を使い、「一般ユーザーがMicrosoft Officeの代替として本当に使えるレベルなのか」をガッツリ検証してみました!

なお、この書式を選んだのは、たまたま目についたレイアウトが崩れやすそうな公的書式だったというだけで、特段の意味はありません。

検証環境について

今回の検証環境はこちらです。

  • OS: Windows 11
  • 比較基準: Microsoft Office 365
  • 検証対象: WordCraft / GridCraft

今回はWindows環境を選びました。当サイトではLinux関係の記事が多いですが、今回に限っては「Linuxだから表示が崩れたんでしょ?」という言い訳を排除し、純粋にアプリ自体の互換性を確かめたかったからです。


GridCraftで履歴書を開いてみる

最初に試したのは、厚生労働省系フォーマットのExcel履歴書です。この手のファイルは、

  • 複雑なセル結合
  • 細かい行高・列幅の調整
  • 印刷レイアウトを前提とした設計

が詰め込まれており、Excel互換ソフトの性能を測るにはこれ以上ない「優秀な試験台」です。

まず、Microsoft Excelで開いたときの表示は当然ながら完璧です。

Excelで完璧に表示される履歴書
Excelならレイアウトは完璧

続いてGridCraftで開いてみたところ……結果はかなり厳しいものでした。

GridCraftで開いた履歴書
GridCraftで開いた履歴書はというと…

気になったポイント

  • 罫線がほとんど消失してしまう
  • セル結合の解釈が大きくズレる
  • 入力欄の枠組みが失われる
  • 履歴書としてのレイアウトが全く成立しない

履歴書は単なる表計算データではなく、厳密な「帳票」です。ここが崩れてしまうと書類として機能しないため、印刷してそのまま提出するような日本の商慣習・行政手続きにおいては、現状のGridCraftをExcel帳票の代替として日常使いするのは、残念ながらまだ難しそうです(今回は計算機能の検証までは行っていませんが、見た目の再現性だけでも実用レベルには達していない印象です)。


WordCraft行政文書を開いてみる

次に、沼津市まちづくりファンド事業の応募申請書(Wordファイル)を試してみました。こちらは典型的な行政文書で、

  • 緻密な表組み
  • チェックボックス
  • 複数の結合セル
  • 印刷を前提としたレイアウト

が含まれています。

Microsoft Wordで開いた状態と、WordCraftで開いた状態を並べて比較してみたところ……やはり盛大にレイアウト崩れが発生しました。

  • 表の幅が盛大にずれる
  • セル結合の解釈が怪しい
  • チェックボックス周辺の表示が乱れる
  • 行・列のバランスが変化する

Microsoft Wordの画面と並べると違いは一目瞭然なので、このまま行政書類として提出するのは難しいでしょう。

WordとWordCraftの申請書比較
WordとWordCraftの申請書比較

意外と健闘していたポイント

レイアウトの再現性は低いですが、

  • 文書全体の構造はしっかり維持されている
  • 表組みも認識できているので頑張れば修正できる
  • 「何の書類なのか」がひと目で分かるレベルは保持している

という状態ではあります。何が何でも無料で使いたいという層に対しては、最低限の機能は提供されていると言えるかもしれません。

無料にこだわるならLibreOfficeの方が再現性は高い

ただし、同じオープンソースのLibreOffice(Writer)と比較すると、Wordの複雑なドキュメントに対する構造保持力は圧倒的にLibreOfficeの方が高い印象を受けます。

WordとWriterの申請書比較
LibreOffice Writerならかなり再現性が高い

実は履歴書のレイアウトの再現性はLibreOffice Calc も GridCraft 同様に低かったのです。Wordとあわせて考えると、現状、CraftシリーズよりLibreOfficeの方が圧倒的にクオリティが高いと言えます。長い開発の歴史は伊達じゃないですね。


検証のまとめ

検証前と実際の結果をまとめると、次のような対比になりました。

製品検証前の予想実際の検証結果
GridCraft表中心のデータだから再現しやすいはず履歴書の大幅なレイアウト崩れが発生し、実用は困難
WordCraft複雑だから苦戦するはず予想通りに大幅なレイアウト崩れが発生し、実用は困難

「DOCX対応」「XLSX対応」という謳い文句だけでは、実際の業務文書で使えるかどうか分からないということがよく分かる結果となりました。とりわけ、レイアウトの再現性を重視する日本でMicrosoft Officeの代替アプリを探すのは、今後も非常に苦労しそうです。

現時点では「Microsoft Officeの代替」というよりも、「将来が楽しみな研究開発プロジェクト」として温かく見守るのが妥当なところでしょう。とりわけLinuxユーザーの私にとって、Microsoft Office の現実的な代替アプリは積年の願いなので、今後のアップデートが本当に楽しみです。

本日も最後までお読みいただきありがとうございました。

それでは、よいオフィススイートライフを!

カテゴリ: その他

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