みなさん、こんにちは。
Linuxユーザーは技術書を読む機会が比較的多いと思います。昨今は技術書が電子書籍化される場合が多く、Kindleで入手される方も多いでしょう。
つまり、「KindleをLinuxでも読みたい!」と思っている方は多いと思うのです。
そこで今回私は、x86_64環境の Xubuntu 22.04 と Bodhi Linux 7.0.0 上で Kindle をどうにか動かせないか、いろいろ試してみました。
その結果と結論を、備忘録を兼ねてまとめておこうと思います。
Kindleは公式にLinux非対応
まず大前提として、Kindleアプリは公式にはLinuxには対応していません。
そのため、以下のような回避策を取る必要があります。
- AndroidアプリのKindleを動かす
- Windows版のKindle for PCを動かす
それぞれのアプローチについて、実際に検証してみた内容を紹介していきます。
Androidアプリを使う方法
KindleのAndroid版は公式に提供されており、APKファイルも入手できます。そのため、Android環境をLinux上に作ってそこで動かす、という方法が考えられます。以下の3つの手段を検討しました。
1. Waydroid
AndroidをLinux上でネイティブに動かす比較的新しい方法です。ただし、WaydroidはWaylandを使用するディスプレイマネージャーが前提です。
私の使っている Xubuntu や Bodhi Linux はどちらも Xorgベース のため、Waydroidは残念ながら使用できませんでした。
2. Anbox
かつてLinuxでAndroidアプリを動かす選択肢として注目されたAnboxですが、現在は開発が止まっておりメンテナンスされていません。試しにインストールしてみたものの、Kindleアプリは正常に動作せず、使い物になりませんでした。
3. 仮想環境にAndroidをインストール
結局、現実的な選択肢としては仮想環境にAndroid OSをインストールする方法しか残りませんでした。
そこで試してみたのが、以下の構成です:
- 仮想環境:VirtualBox 7.1
- Android OS:
- Android-x86 v9(Android 9ベース)
- Bliss OS v15(Android 12ベース)
Android-x86 v9 の場合
Android 9ベースで、比較的軽量。ですが、インストール時にWi-Fi接続が必要で、仮想マシンのネットワークは有線接続扱いになるため、インストール自体が進まず断念。
Bliss OS v15 の場合
Android 12ベースで、より近代的なUIが特徴。
公式ではVirtualBoxへのインストールに対応しているように読めましたが、以下のサイトを参考にさせてもらったところ、「VirtualBoxは非推奨」でした。(参考:Bliss OS for PC のインストールと設定)。
試してみたところ、インストール自体は可能でしたが、確かに以下のような問題に直面しました。
- 仮想環境での動作が極端に遅い
- マウスキャプチャがうまくいかない
- アプリの起動にもかなり時間がかかる
つまり、実用にはほど遠いという結論です。
Kindle for PC を使う方法
次に、Windows向けの「Kindle for PC」をLinux上で動かす方法についても検証しました。こちらは以下の2通りの方法が考えられます。
1. Wine を使う
Wineを使えば、Windows用のアプリをLinux上で動かすことができます。過去には「Kindle for PCのバージョン1系であれば動作する」という報告もありました。
ですが、現在は以下のような理由で実現が困難です。
- バージョン1系のKindleアプリは すでに公式サイトから入手不可
- 古いバージョンをどこかから見つけてきても 設定が複雑で不安定
- セキュリティ面の懸念もある
というわけで、Wineを使う選択肢も却下しました。
2. 仮想環境にWindowsをインストール
結局、最も安定してKindleを使える環境は仮想マシン上のWindowsでした。
- VirtualBoxなどでWindowsをインストール
- その上で、最新のKindle for PCをインストール
- 問題なくログイン&読書可能
唯一のデメリットは、Windowsライセンスが必要になるという点です。とはいえ、快適さ・安定性・機能性を考えると、この方法が最も現実的でした。
結論:XorgなLinux上でのKindleはまだまだ遠い
今回いろいろ試してみてわかったのは、
「Linux上で安定してKindleを使う方法は、Windowsの仮想環境を使う以外に存在しない」
という悲しい事実でした。
私のようにLinuxを日常的に使っているユーザーにとって、電子書籍を読むためだけにWindows環境を用意するのは正直手間です。ですが現状、これが唯一の安定手段というのが結論です。
公式がLinuxネイティブで動くKindleアプリを提供してくれるか、Kindle Cloud Readerで全書籍を読めるようにしてくれたら、と切に願います。
XorgなLinuxでKindleを使いたいと考えている方の参考になれば幸いです。
同じ悩みを抱える同志の方、なにか良い代替策や新情報があれば、ぜひコメントなどで教えてください!
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。
それでは、よいKindleライフを!
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