Xubuntu 22.04とAndroidスマホでファイルをワイヤレス共有!最も簡単なWarpinator導入ガイド

みなさん、こんにちは。

Xubuntu 22.04はその軽快さと安定性で多くのユーザーに愛用されていますが、日常的な作業の中で意外と手間取るのが「Androidスマートフォンとのファイル共有」です。

写真や動画、ドキュメントなど、PCとスマホ間でファイルをやり取りしたいシーンは頻繁にあります。

  • USBケーブル接続:毎回ケーブルを探して接続するのが面倒。
  • MTP接続:安定性に欠け、ファイル転送中に切断されることも。

以前、Pythonのhttp.serverを利用した簡易Webサーバーでの一方向ファイル配布を紹介しました。

これは「PC→スマホ」の配布には役立ちましたが、スマホからPCへファイルを送り返す双方向のやり取りができないという大きな制約がありました。

「もっと簡単に、双方向で、安全にファイルをやり取りできる方法はないか?」

この問題を解決する最適解として見つけたのが、Linux Mintチームが開発したWarpinatorです。今回は、Xubuntu 22.04とAndroidスマホをシームレスに連携させるための、Warpinator導入と設定の全手順をご紹介します。

 


 

Warpinatorとは?AirDropのように使えるオープンソースのファイル転送ツール

 

Warpinator(ワーピネーター)は、Linux Mintに標準搭載されている、同じローカルネットワーク(Wi-Fi/LAN)内でのみ動作するファイル共有アプリケーションです。

まるでApple製品の「AirDrop」のように、直感的な操作でPCとスマホ間でファイルを送受信できます。

Warpinatorの主要な特徴

  • 完全ローカル通信
    • インターネットを経由せず、同一ネットワーク内でのみ動作。プライバシーが確保されます。
  • クロスプラットフォーム
    • Linux(Xubuntu, Mintなど)だけでなく、AndroidWindows版も提供されています。
  • TLS暗号化通信
    • ファイル転送データはTLSで暗号化され、安全性が確保されています。
  • 直感的なUI
    • 相手のデバイスを選択し、ファイルをドラッグ&ドロップまたはタップで送信可能。

 


 

Xubuntu 22.04へのWarpinator導入は「Flatpak」が最適解

 

Xubuntu 22.04でWarpinatorを導入する際、パッケージ形式の選択がキモです。APTやSnapではなく、Flatpak版を選択することが重要です。

なぜAPTやSnapではなくFlatpakを選ぶべきか?

Warpinatorの導入にあたり、APTやSnapではなくFlatpakを推奨するには明確な理由があります。

APT (Ubuntu公式リポジトリ) の課題として、まずUbuntu公式リポジトリにはWarpinatorが含まれていません。そのため、導入するにはLinux Mintのリポジトリを別途追加する必要がありますが、これはシステム全体の依存関係を複雑化させるリスクを伴います。

次にSnap (Snapd) の課題ですが、Snap版はサンドボックス(隔離環境)の制限を受けるため、特にAndroid端末との接続が不安定です。具体的には、デバイス検出に必要なUDPポート(42000および5353)の通信が制限されがちで、このため、端末が見つからない、または接続できないという現象を発生させます。

一方、Flatpak (推奨) を選ぶと、これらの問題をすべて解決できます。Flatpak版はネットワーク制約がなく、Androidを含む外部端末との接続が非常に安定しています。また、Linux Mint公式が配布している形式であり、更新も継続的かつ確実に提供されるため、Xubuntu 22.04での利用において最も現実的で安全な選択肢となるのです。

 


 

Warpinatorのインストール手順

 

ステップ1 – Flatpak環境の準備

Xubuntu 22.04にFlatpakが入っていない場合は、まずはFlatpakをインストールします。

  • Flatpak本体のインストール
sudo apt update sudo apt install flatpak
  • Flathubリポジトリの追加
    • WarpinatorはFlathubで配布されているため、リポジトリを追加します。
flatpak remote-add --if-not-exists flathub https://flathub.org/repo/flathub.flatpakrepo

ステップ2 – Warpinator本体のインストールと起動

  • Warpinatorのインストール
flatpak install flathub org.x.Warpinator
  • Warpinatorの起動
    • インストール後、以下のコマンドで起動するか、GUIメニューから探して起動します。
flatpak run org.x.Warpinator

 


 

初回必須設定 – グループコードで安全性を確保する

 

Warpinatorを初めて起動すると、「安全モードが無効です」という警告が表示されることがあります。

安全モードが無効です
安全モードが無効です

これは、初期値のグループコードが汎用的すぎるためです。セキュリティ確保と接続の安定化のために、必ず一意のグループコードを設定しましょう。設定手順は以下の通りです。

  1. オレンジ表示されているバーの中の「コードを設定」ボタンをクリックします。
  2. 設定画面が表示されるので、グループコードに任意の文字列(例:FilesShare2025など)を入力し、「コードを設定」ボタンをクリックします。
Warpinatorコードの設定
コードを入力してクリック

 


 

Android側の設定

 

Google Playストアから「Warpinator」アプリをインストールします。

Warpinator_googleplay
Google Play からインストール

アプリを起動し、右上の「︙」メニューから「Settings」を開きます。

Group Code」の欄がデフォルトでWarpinatorになっているか確認し、PC側で設定したコードと完全に同じ文字列に修正します(例:FilesShare2025)。

グループコードを修正
グループコードを修正

設定が完了すると、両方の端末に相手のデバイス名が表示されるようになります。

接続可能デバイスが表示される
接続可能
接続可能デバイスが表示される

 


 

Warpinatorによるファイル共有の流れ

 

グループコードを設定し、両端末が検出されたら、あとは簡単です。

1. スマホからPCへの送信

  1. Androidアプリで、PCのデバイス名をタップします。
  2. 送信したいファイルを選択して送信ボタンを押します。
  3. PC(Xubuntu)側に通知が表示されるので、「承認」をクリックして保存先を選びます。
承認をクリック

2. PCからスマホへの送信

  1. PCのWarpinator画面で、スマホのアイコンをクリックします。
  2. 送りたいファイルをドラッグ&ドロップ、またはファイル選択ダイアログから選びます。
  3. スマホ側にファイル受信の通知が表示され、チェックをクリックすると自動的に保存が完了します。
スマホ通知
✔をクリック

これで、AndroidスマホとXubuntu 22.04の間で、双方向の安全なファイル転送がケーブルレスで実現します。

 


 

セキュリティと安定運用のための追加ポイント

 

Warpinatorを安全かつ安定して利用するために、以下の点も確認しておきましょう。

  • 通信の安全性
    • 通信はTLS暗号化されており、同一LAN内でも盗聴のリスクは最小限に抑えられます。
  • グループコード
    • グループコードを設定することで、意図しない第三者との誤接続を防止します。
  • ファイアウォール設定:Xubuntu側でファイアウォール(UFWなど)を有効にしている場合、通信を許可する必要があります。
    • デバイス検出用:UDP 5353
    • ファイル転送用:UDP 42000
    • 以下のコマンドで許可を設定できます。
sudo ufw allow 42000/udp
sudo ufw allow 5353/udp

 


 

まとめ

 

Xubuntu 22.04とAndroidスマホ間のファイル共有は、Flatpak版Warpinatorを使うことで、MTP接続の不安定さや、一方向Webサーバーの限界といったすべての問題を解決します。

Warpinatorのメリット総まとめ

  • ケーブル不要:Wi-Fi環境があればどこでも瞬時に転送。
  • 双方向通信:PC↔スマホのやり取りが自由自在。
  • セキュリティ:TLS暗号化とグループコード設定で安全。
  • 互換性:FlatpakによりXubuntu 22.04でも高い安定性を確保。

このWarpinatorの導入により、Xubuntuでの作業効率が大幅に向上します。なお、これらの手順はUbuntuでも同様です。写真共有、イベント資料の配布、現場でのデータ回収など、日常から専門用途まで幅広く活用してください。

 

本日も最後までお読みいただきありがとうございました。

それでは、よいUbuntuライフを!

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