みなさん、こんにちは。
Web制作やアプリ開発、あるいはシステム構成図の作成において、「アイコン」をどう選んでいますか?
アイコンは単なる飾りではなく、UI(ユーザーインターフェース)の一貫性と可読性を支える、いわば「情報の骨組み」です。
私はこれまで、長らく icooon-mono を愛用してきました。日本語圏で非常に使いやすく、シンプルで汎用的なデザインが揃っているため、医療・介護ICT系の提案資料やWebサイトでも大変重宝してきたのです。
しかし最近、Lucide(ルシード) というオープンソースのアイコンライブラリに出会い、実際にプロジェクトへ組み込んでみたところ、「これはもう、UI構築の標準をこちらに移行すべきだ」と確信しました。
本日は、30年近くIT業界に身を置いてきたエンジニアの視点から、なぜ今、私が「素材サイト」を卒業し、「アイコンシステム」へと舵を切ったのか。その理由を解説します。
これまで支えてくれた icooon-mono の功績
まず、icooon-mono について。日本のデザイナーの方が運営されている素材サイトで、その利便性は圧倒的です。
- PNG / JPG / SVG が手軽にダウンロード可能
- 6,000点を超える圧倒的な素材数
- 日本特有の概念やピクトグラムに強い
特に、日本の現場向けのチラシや説明図を作る際、直感的に「あ、これこれ」と思えるアイコンが見つかるのが最大の強みです。しかし、エンジニアとして「WebアプリのUI」や「長期的なプロダクト開発」という視点で見ると、いくつかの課題も感じていました。
素材集であるがゆえに、アイコンごとに線の太さや角の丸みが微妙に異なったり、コードベースでの一括管理が難しかったりといった点です。
UIのために最適化された Lucide とは?
そこで登場するのが Lucide です。一言で言えば、「UIのために設計された、エンジニアリングフレンドリーなSVGアイコンセット」 です。
Lucide は、かつて人気を博した Feather Icons から派生したプロジェクトですが、現在はコミュニティによって非常に活発にメンテナンスされています。
- 1,600以上の洗練されたSVGアイコン
- 徹底されたデザインルールによる統一感
- React / Vue / Angular / Svelte 等の主要フレームワークへの公式対応
- カスタマイズの容易さ(色・サイズ・線の太さをプログラムで制御可能)
さらに特筆すべきは、ISCライセンスを採用している点です。これはMITライセンスに近く、商用利用において極めて制約が少なく、企業向けのシステム開発でも安心して採用できます。
なぜ今「Lucide」なのか? 5つの選定理由
1. UIの一貫性が「安全性」に直結する
私が関わる医療ICTの領域では、「情報の誤読」は絶対にあってはならないことです。
例えば、アラートを示すアイコンや、保存・削除といったアクションを示すアイコン。これらが画面ごとに微妙にデザインが違っていたらどうでしょうか? ユーザー(医療・介護従事者)に一瞬の迷いを生じさせ、それが操作ミスに繋がるリスクもゼロではありません。
Lucide は、すべてのアイコンが同じグリッド、同じデザイン思想(線の端の処理や曲線のルール)で作られています。この「一貫性」は、単なる見た目の綺麗さではなく、システムの安全性と信頼性を担保するための重要なスペックなのです。
2. SVGの軽量化とパフォーマンス
モダンなWebアプリにおいて、パフォーマンスは正義です。
Lucide のSVGコードは非常にクリーンに最適化されています。icooon-mono などの素材サイトのSVGも優秀ですが、Lucide は「コードとして埋め込むこと」を前提に設計されているため、バンドルサイズを抑え、高速なレンダリングを可能にします。
3. 「ブランドアイコン削除」という英断と法的リスクの回避
Lucide のバージョン1では、あえて特定の企業のブランドアイコン(SNSのロゴなど)を削除し、別パッケージに切り出す方針を明確にしました。これは、法的な商標リスクを避けるための判断です。
長期的に保守運用していくシステムにおいて、ライブラリ側にこうしたコンプライアンス意識があることは、技術選定における大きな加点ポイントになります。
4. モダンな開発ワークフローとの親和性
今の開発現場では、VS Code を開き、GitHub Copilot などのAIツールと対話しながらコンポーネントを構築していくのが当たり前になりました。
Lucide は npm パッケージとして提供されているため、npm install lucide-react と叩くだけですぐに利用可能です。AIも Lucide の構造を熟知しているため、「Lucide の Bell アイコンを使って、色は赤、線幅は1.5pxでコンポーネントを作って」といった指示が、驚くほど正確に通ります。
5. 世界規模のコミュニティとメンテナンス性
週に3,000万回以上ダウンロードされるという数字が示す通り、Lucide は世界中のエンジニアに支えられています。もしバグが見つかっても、あるいは新しいアイコンが必要になっても、誰かが解決してくれる、あるいは自分がコントリビュートできる環境がある。この「エコシステムの広さ」こそが、30年の経験から学んだ「枯れない技術」を選ぶコツです。
比較まとめ – icooon-mono vs Lucide
| 観点 | icooon-mono | Lucide |
| 主用途 | 図解・チラシ・イラスト寄り | Web/アプリのUI特化 |
| デザイン統一性 | バラつきがある(個性がある) | 厳密に統一されている |
| カスタマイズ | 画像として編集が必要 | コード(CSS/Props)で自由自在 |
| ライセンス | 独自規約(商用OKだが確認が必要) | ISC(非常に緩く、明確) |
| 実装の容易さ | ファイルのアップロードが必要 | 各種フレームワークの公式パッケージあり |
用途によって「使い分ける」のがプロの選択
もちろん、icooon-mono を否定するわけではありません。例えば「地域包括ケアシステムの仕組み」を図解するようなスライド資料では、親しみやすい icooon-mono のピクトグラムが今でも最強の味方です。
しかし、以下のようなケースでは、私は迷わず Lucide に統一する 方針に切り替えました。
- 医療・介護現場向けの管理画面・Webアプリ
- プロダクトのデザインシステム構築
- 技術ブログやドキュメント内のシステム構成図
今後は、デザインシステム自体に Lucide のデザインルールを組み込み、もし足りないアイコンがあれば Lucide のトーン&マナーに合わせた自作アイコンを追加する、という運用にシフトしていきます。
「たかがアイコン、されどアイコン」。
技術選定の小さなこだわりが、最終的なプロダクトの品質を左右します。皆さんもぜひ、Lucide の洗練された世界観に触れてみてください。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。
それでは、よいデザイン&開発ライフを!



