みなさん、こんにちは。
日本でBodhi Linuxを使っているユーザーの中には、Bodhi 8のリリースを心待ちにしている方も多いのではないでしょうか?
しかし、Ubuntu 26.04 LTSが登場した現在でも、Ubuntu 24.04ベースとなる「Bodhi Linux 8」の正式ISOはリリースされていません。「コミュニティの開発が滞っているのかな?」と単純に思われがちですが、それは事実の半分しか見ていません。
開発停滞の背景には、中心開発者本人の深刻な健康問題とBodhiが抱える構造的な弱点があるからです。
日本ではまだあまり知られていないこの事実と、今ユーザーである私たちが取れる現実的な選択肢について、今回は整理してお伝えします。
最大の理由 – 中心開発者 ylee 氏の重度な喘息発作
Bodhi Linuxの開発を一身に背負うコア開発者・ylee(Robert Wiley)氏は、2023年1月に成人してから最も重度とされる、命に関わるレベルの喘息発作を起こして倒れてしまいました。この悲しい出来事は、Bodhi公式フォーラムで本人より明かされています。
発作以降、ylee氏を襲った状況は非常に壮絶なものでした。
- 数ヶ月に及ぶ通院と精密検査
- 本業(石工職人)ができなくなり、収入がストップ
- 膨大な医療費による約4,000ドルの負債
- 必要な吸入薬すら購入が難しくなる厳しい経済状況
- Bodhiの開発作業がほぼ完全停止
Bodhi 7のリリース遅延はもちろん、現在のBodhi 8の停滞も、すべてこの健康問題とそれに伴う生活の混乱が根本的な原因となっています。
Bodhi最大の弱点 – 「Bus Factor = 1」の構造的問題
Bodhi Linuxといえば、超軽量で美しい「Moksha」デスクトップが最大の魅力です。しかし、その裏側には「実質的にylee氏ほぼ一人の手によって作られている」という大きなリスクがありました。
専門用語で「Bus Factor(バス因子:主要開発者がバスに跳ねられたらプロジェクトが止まるリスク)」と呼ばれますが、まさにBodhiのBus Factorは「1」なのです。
- Mokshaのコア部分のコード修正
- Bodhi専用パッケージのビルド
- 配布用ISOイメージの作成・テスト
- リリース作業全般
これらすべてがylee氏個人に依存しているため、彼が体調を崩すとプロジェクト全体の動きがピタリと止まってしまう構造になっています。フォーラムでも本人自らこの「Bus Factor問題」を認めていました。
実は「Bodhi 8」の中身自体はほぼ完成している!
開発が止まっていると聞くとショックですが、実は絶望的な状況ではありません。
Bodhi 8の核となるパッケージ(Moksha 0.4.2)や設定群はすでにほぼ完成しており、GitHub上で環境構築スクリプトとして公開されています。
スクリプトを使えば、Ubuntu 24.04(noble)向けに新しいテーマや最新のモジュール、Moksha 0.4.2がしっかり導入できます。つまり「中身(中身のパッケージ)はあるのに、配布するための箱(公式ISO)を作る作業だけが止まっている」というのがBodhi 8の正確な現状なのです。
Ubuntu 26.04 時代の今、Bodhi 8 を待つ意味はある?
2026年8月現在、すでに最新の Ubuntu 26.04 LTS が世に出ています。
仮に今、Ubuntu 24.04ベースのBodhi 8が正式リリースされたとしても、以下の問題が生じます。
- ベースOSが1世代古い状態でのスタートになる
- 新規ユーザーは26.04ベースとなる「Bodhi 9」を待つ流れになる
- Bodhi 8の位置づけがかなりニッチなものになってしまう
熱心なBodhiファンなら、すでにGitHubのスクリプトを使って自分でBodhi 8相当の環境を組んでいるケースも多いでしょう。そう考えると、ylee氏自身にとっても「今さら24.04ベースのISOを苦労して作る絶対的なモチベーション」が湧きにくいのかもしれません。
今、私たちが取れる現実的な4つの選択肢
「じゃあ、これからMokshaを使いたい人はどうすればいいの?」という方のために、今取れる現実的なアプローチを4つまとめました。
選択肢1. MX Moksha を使う
AV Linuxの作者として知られるGlen MacArthur氏らが手掛けた「MX Moksha」は、まさに「ylee氏の体調不良でBodhiが止まっている現状」を受けて作られた、事実上のBodhi 8代替ディストロです。
- 特徴
- Moksha 0.4.x を MX Linux(Debian Trixieベース)に移植
- 公式ISOが普通にダウンロードでき、インストールが簡単
- 非常に軽量で安定感バツグン
- まさに Bodhi 8 の精神的後継といえる仕上がり
今すぐ最新の安定環境でMoksha 0.4.2を体験したいなら、間違いなくこれが一番現実的で賢い選択肢です!
選択肢2. Ubuntu 24.04 にスクリプトを入れて自力構築する
前述のGitHubで公開されているnoble用スクリプトを使い、Ubuntu 24.04 LTSやXubuntu 24.04 LTSの上に自分でBodhi 8相当の環境を組み上げる方法です。
なお、MokshaのファイルマネージャーはXfce4のデフォルトファイルマネージャーであるThunarなので、Xubuntu 24.04 LTS に環境を組み上げる方が相性がよいと思います。
ISOからの一発インストールとはいかず手作業が増えるため、どちらかといえばLinuxの操作に慣れた技術派ユーザー向けの選択肢と言えます。
選択肢3. Bodhi 9(Ubuntu 26.04ベース)を気長に待つ
一番保守的なアプローチですが、正直なところリリース時期は完全に未定です。ylee氏の体調の回復具合やISO作成の属人化が解消されない限り、長期戦になるか、最悪の場合は実現しない可能性もあります。
選択肢4. Bodhi 7 をそのまま使い続ける
Bodhi 7は Ubuntu 22.04 LTS ベースのため、サポート期間もまだまだ残っており、今でも十分に現役で使えます。
公式の最新版なのでアップデートも届きますし、ライブラリの古さが気にならないのであれば、今最もトラブルが少なく安定して使える環境です。
私自身は現在、メイン環境では「選択肢4(Bodhi 7)」を使い続けつつ、サブや実験環境で「選択肢1(MX Moksha)」と「選択肢2(自力構築)」を試すというスタンスを取っています。
これからMokshaを試すなら、ベストは「MX Moksha」。次点で「Bodhi Linux 7」
これから新しくMokshaの軽快さを楽しみたい方には、環境の新しさと安定度の面から「MX Moksha」をおすすめします。インストール後に日本語の設定が必要など、ひと手間必要ですが、非常に軽快で安定して動作してくれます。
ただし、日本語情報は絶望的に少ないので、不安がある方は、公式の「Bodhi Linux 7」を使う方がよいでしょう。Bodhi Linuxも情報が少なめですが、MX Mokshaに比べれば日本語情報が多くありますし、何よりもベースがUbuntu 22.04 なのでUbuntuの情報を探せば、ほぼ何とかなります。
最後に、日本のBodhiファンのみなさん、Bodhi Linuxの開発は決して見捨てられたり放棄されたりしたわけではありません。
今は焦らず、長年素晴らしいデスクトップ環境を提供してくれた ylee 氏の体調が一日も早く回復することを、みんなで祈りましょう!
「自分もLinuxで何か作ってみたい」と思われた方、そのアイデア、頭の中で寝かせておくのはもったいないかもしれません。
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本日も最後までお読みいただきありがとうございました。
それでは、よいBodhi Linuxライフを!



