みなさん、こんにちは。
先日、CareTEX福岡’26に行ってきました。その際、「本人の『できる力』を守り『活躍できる場』を取り戻す」というテーマの講演を聴く機会がありました。 講演者は福岡市の特別養護老人ホーム「なごみの里」で、高齢者の社会参加活動を支援するプロジェクト「老練(Roren)」を主宰する香月真氏です。
「老練(Roren)」という取り組みで印象的だったのは、介護の目的を「できないことを補うこと」ではなく、「本人が社会の中で役割を持ち続けること」と捉えている点です。 この視点は、以前聴講した難病患者の「可能性」についての講演と共通するものでした。
介護保険制度は、身体機能の改善だけではなく、生活や社会参加を重視する方向へ変化してきました。しかし現場では、安全性や業務効率、人手不足などさまざまな要因から、その理想を実現することは簡単ではないようです。
そんな中で、「本人ができること」に目を向け、その力を社会とつなぎ直すという考え方は、深く本質をついているものでした。
私が開発しているシステムとの共通点
私は医療・介護分野で、医療機器の見守りシステム「MEGTAR」や、喀痰吸引のタイミングを支援するシステム「SMART」の開発に取り組んでいます。
これらは一見すると、「見守り」や「異常検知」のシステムです。
しかし、本当に実現したいことは、アラーム対応や状態確認といった業務をICTやAIが支援することで、看護師や介護職が利用者と向き合う時間を増やすこと、つまりサービスの品質をあげることです。それが開発を続けている理由で、業務効率化によって人を減らしたいわけではありません。
サービスは提供する人と提供される人の共同作業です。人が提供しなければ共同作業が発生しません。かつ、サービスを提供された側の知覚が、事前期待を上回った場合にのみ、サービスに対して満足感が得られ、サービスの品質が向上します。提供される側の期待を無視した効率化一辺倒ではサービスの品質は向上しないのです。
今回の講演を聞いて、その考え方は間違っていなかったと改めて感じました。
AIが見つけるべきなのは「異常」だけなのか
介護DXというと、「転倒を検知する」「離床を検知する」「異常を検知する」といった、「問題を見つけるAI」が中心です。
もちろん、それらは重要な技術です。
しかし講演を聞きながら、これからのAIにはもう一つ役割があるのではないかと考えました。
それは、「できるようになったことを見つけるAI」です。
- 今日は昨日より長く作業に参加できた。
- 誰かの役に立てた。
- 新しい役割に挑戦できた。
こうした小さな変化を見える化し、本人や支援者が共有できれば、期待を上回る満足感を得られます。そして、それはリハビリや介護の新しい評価指標になるかもしれません。
「安全」を守るだけでは、人は輝けない
介護現場では安全性が何よりも重要です。一方で、安全だけを追求すると、「危ないからやめておこう」という判断が積み重なり、本人ができることまで失われてしまうことがあります。
講演で紹介された事例では、リスクを適切に管理しながら本人の「やりたい」を実現することで、大きな自信や生きがいにつながっていました。
ICTやAIも同じではないでしょうか。
人の活動を制限するための技術ではなく、「どうすれば安全に実現できるか」を支える技術であるべきだと思います。
「できない」を見つける時代から、「できる」を育てる時代へ
医療や介護では、異常を早く見つける技術がこれまで発展してきました。
これからは、それに加えて、「その人らしさ」や「役割」を支える技術が求められるのではないでしょうか。
AIは、人を評価するためではなく、人の可能性を見つけるために使われる。
今回の講演を通して、そのような未来の介護ICTを改めて考えるよいきっかけになりました。 明日からの製品企画にさっそく取り入れていきたいと思います。
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本日も最後までお読みいただきありがとうございました。
それでは、よい製品開発を!



