新規事業やプロダクト創出で迷った時に立ち返るべき「3つのリアリティ」

みなさん、こんにちは。

先日、福岡のCICで開催された株式会社ヌーラボさん主催のトークイベント「イノベーションを起こすために必要なのは、手法ではなく思考法」に参加してきました。

参考:イノベーションを起こすために必要なのは、手法ではなく思考法|ヌーラボ本社移転記念イベント

登壇されたのは、ミネルバ式リーダーシッププログラムを提供する株式会社 Learner’s Learner CEO の黒川公晴さんと、株式会社ヌーラボ代表取締役 CEO の橋本正徳さんです。

イノベーションや新規事業というテーマで「マネジング・コンプレキシティ(Managing Complexity)」を語る少し学問的なお話が主題ではあったのですが、表面的な綺麗事や手法論にとどまらず、「事業を現場で泥臭く動かすうえでのリアリティ」に満ちあふれた刺激的な議論が展開されました。自分自身の事業への向き合い方を深く見直す、すごく良いきっかけになったと感じています。

そこで今回は、このイベントを通じて私が感じた「事業を回すうえで最も重要だと確信した3つの気づき」をまとめておきたいと思います。

なお、本記事ではマネジング・コンプレキシティ自体には深く触れませんので、興味がある方はぜひ黒川さんの著書を読んでみてください。

参考図書:黒川公晴 氏 著書
ミネルバ式 最先端リーダーシップ 不確実な時代に成果を出し続けるリーダーの18の思考習慣


パーパスやターゲットの主語は「極小」から始める

新規事業やプロダクト開発をはじめるとき、ついつい社会課題の解決や壮大なビジョン(パーパス)を掲げたくなります。ですがイベントの中で特に印象的だったのが、「主語が大きすぎると具体的なアクションプランに落ちず、結局『他人事』になってしまう」という指摘でした。

  • 綺麗事は引き算で見えてくるもの
    創業前や実際に体験する前に掲げる綺麗なパーパスは、実は薄っぺらくなりがち。むしろ泥臭い実践や「嫌なものを削ぎ落とす過程(引き算)」を経て、後から発見・言語化されていくものこそが本質。
  • 身の丈に合った解像度から始める
    最初から大きな市場を目指すのではなく、マーケットも課題設定も極力「小さく・狭く」定義するべき。自分の手が届く範囲で、確実に初期の成果を作ることが決定的に重要。

社会を変えるような大きな構想であっても、起点となるのは「自分事」として捉えられる極小の解像度と手触り感です。まずは目の前の「たった一人の課題」を解くことから逃げてはいけないなと、深く再認識させられました。


挑戦と思考を支える最大の土台は「資金と心の余裕(余白)」

事業を進めるうえで、一番ハッとさせられたのが「余裕(余白)」の重要性に関する議論です。

事業が厳しくなったり追い詰められたりすると、「背水の陣で変化を起こそう!」と考えがちですよね。しかし、橋本さんは「資金的な余裕がなくなると頭が真っ白になり、クリエイティビティや思考力は完全に奪われる」とご自身の実体験を語られていました。

  • 余裕がない状態での迷走
    手元の資金や心に余裕がなくなると、目先の資金繰りのことしか考えられなくなってしまう。結果として表面的なビジョンに逃げてしまったり、重要な機会に対するアンテナが切れてしまったりする。
  • まず現金を確保して余白を作る
    綺麗なミッションやビジョンを語る前に、まずはしっかりと現金を確保して手元に「余白」を作ること。これが何よりの先決。

焦りや生存本能だけで動く状態では、本質的なイノベーションもポジティブな変化も生まれません。創造的な思考を維持して適切な判断を下し続けるためにも、意識的に「余白」を確保することが事業家としての責務だと痛感しました。


爆速で作れる時代だからこそ「泥臭い関係性と検証」がボトルネックになる

現在はAIの進化によって、プロダクトのプログラミング作業や仮説構築が爆速で行える時代になりました。だからこそ陥りがちな罠について、強い警鐘が鳴らされていました。

  • 最大の難所は「協力してくれるユーザー開拓」
    プロダクトづくりにおいて一番大事で、一番時間がかかるのは「実際に試してフィードバックをくれるユーザーさんを探すこと」。
  • 妄想によるプロダクト生産の危険性
    生身のユーザー検証を怠ると、作り手の妄想だけで顧客の声を決めつけて改善を重ね、結果として誰にも刺さらない不要なものを爆速で量産してしまう危険がある。
  • 機能的価値の前に「関係性ベースの信頼」
    西欧的なタスクベースの信頼関係とは異なり、特に日本の現場では、対面でのやり取りや雑談を通じた「感情的な価値・人間関係の構築」が先行しなければ、どれだけ優れた機能的価値があっても試してもらうことすらできない。

どれだけ作るスピードが上がっても、人間関係の構築や泥臭い現場の検証をスキップするショートカットは存在しません。画面に向かう時間以上に、「泥臭い対話と関係性づくり」に時間とエネルギーを投資すべきなんだと学びました。


変化に適応していくために

イベント全体を通して流れていたのは、状況を冷静に観察・分析し、変化に応じて自分自身やアプローチを変えていく「適応型リーダーシップ」の姿勢でした。

事業を回す中では、うまくいかないことや想定外の壁にぶつかることばかりです。だからこそ、大きすぎる主語に振り回されず、手元の資金や心に「余白」を保ちながら、目の前の生身の人間関係や課題に向き合い続けることが大切なんだと感じます。

今回の気づきを胸に、自分の足元と手触り感を大切にしながら、次の実践へと活かしていきたいと思います!

本日も最後までお読みいただきありがとうございました。

それでは、よい事業開発を!


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カテゴリ: 事業開発

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