九州次世代エネルギー展で考えた、IoTシステムの価値はどこにあるのか?

みなさん、こんにちは。

先日、「九州次世代エネルギー展」に行ってきました。

会場では、再生可能エネルギーや蓄電池、VPP(仮想発電所)、AIを活用した業務自動化など、最新技術の展示や特別講演がたくさん行われていました。

普段は医療・介護分野を中心にIoTやシステム開発に関わることが多いのですが、今回エネルギー分野の熱いお話を聞いていて、「あれ?これって医療・介護IoTの現場で直面している課題とすごく似ているな…!」と感じたのです。

それは、「設備からデータを集めること」そのものよりも、「集めたデータを使って誰がどう判断し、システムにどこまで任せるか」の設計こそが本質なのではないか、ということです。

今回は、展示会を通してあらためて考えた「IoTシステムの本当の価値」についてまとめてみたいと思います。


「ただつなぐだけ」ではIoTにならない

今回、特に興味深かったのがVPP(Virtual Power Plant:仮想発電所)のお話でした。太陽光発電、蓄電池、EV、さらには工場やビルの設備などをIoTやAIでつなぎ、全体でひとつの発電所のように制御する仕組みです。

一見すると「いろんな機器をインターネットにつなぐ技術」のように見えます。しかし、実際に裏側で行われているのは次のような連続した処理です。

  • 太陽光の発電量をリアルタイムで把握する
  • 蓄電池の充電状態をチェックする
  • 今後の電力需要を予測する
  • 電力価格の変動を把握する
  • 「いつ充電し、いつ放電するか」を判断する
  • 必要に応じて設備を自動制御する
  • その結果をログとして確認・検証する

つまり、ただ「つなぐ」ことよりも、「つないだデータをどう判断して、次の行動につなげるか」がポイントなわけです。これは、エネルギー分野に限らずあらゆるIoTシステムに共通する大事な視点だと感じました。


蓄電池も「モノ」から「ソフトウェアで動かす資産」へ

もうひとつ印象的だったのが、蓄電池の活用の話です。

太陽光でつくった電気を昼間にためて夕方に使ったり、工場やビルでピークカットやBCP(事業継続計画)対策のために設置したりと、用途は広がっています。

ただ、ここでも「どんなスペックの蓄電池を置くか」だけを見ていては本質を見失ってしまいます。蓄電池は「いつ充電して、いつ放電するか」という運用プログラムによって、その価値が何倍にも変わるからです。

設備という「ハードウェア」の価値が、それをコントロールする「ソフトウェアの設計」によって決まる。IoT化によってモノの価値そのものが変化していく、とてもわかりやすい例だと感じました。


AIに判断させれば、それでOK?

別の講演では、AIとシステムを活用した監視・申請業務の自動化について紹介されていました。

そこで登場した「判断はAI、実業務はシステム、最終責任は人」という役割分担の考え方に、非常に共感しました。AIを導入しようとすると、つい「AIに何をさせようか?」「AIの精度をどう上げるか?」という技術寄りの思考になりがちです。

でも本当に設計すべきなのは、「AI、システム、人間のそれぞれに、どこまで仕事を任せるのか」という境界線の設計なのです。

例えば、設備の異常検知ひとつをとっても、

AIが異常を検知

↓

システムが担当者へ通知

↓

担当者が状況を確認して現場へ指示

という人間を挟むフローにするのか、あるいは異常検知から設備の緊急停止までを完全自動化するのか。

どちらが正解かは、対象となる設備のリスクや安全基準によって変わります。だからこそ、AIの精度だけを追うのではなく、「AIの判断をシステム全体のどこに配置するか」を人間側がしっかり設計しなければなりません。


医療・介護IoTの現場でも、まったく同じことを考えてきた

この話を聞きながら、自分がこれまで関わってきた医療・介護IoTの現場が頭に浮かびました。

例えば、医療現場には人工呼吸器や生体情報モニタなど、命に関わる機器がたくさんあります。しかし、これらの機器からデータを取得できるようにしただけでは、現場の負担は減りません。

大事なのは、

機器の状態 ⇒ データ取得 ⇒ 状況の判断 ⇒ 情報の提示 ⇒ 人間による最終判断

という一連のワークフローをどう組み立てるかです。

例えば「100%正確に自動判定できないから使えない」と切り捨てるのではなく、「いま何が起きている可能性があるのか」を看護師や医師がパッと見て判断できる形で提示できれば、それだけでも現場の心理的・時間的負担は大きく減らせます。

技術のスペックだけを見るのではなく、「現場の実際の仕事の中に、その技術をどう組み込むか」、分野が変わっても、向き合うべき本質は同じなんだと再確認できました。


IoTシステム開発で、最初に考えるべきこと

今回の九州次世代エネルギー展を通して、IoTやAIのシステム開発で本当に考えるべきポイントが改めて整理できました。

「何をインターネットにつなぐか」の前に、

  • 何のデータを取得するのか?
  • そのデータから何を判断するのか?
  • AIにどこまで任せるのか?
  • システムにどこを自動化させるのか?
  • 人間にはどの判断を残すのか?
  • 最終的な責任は誰が持つのか?

ここを詰めていくことこそが、開発の最初の一歩なのだと思います。

「センサーをつけること=IoT」ではありませんし、「AIを入れること=DX」でもありません。

現場にある「モノ」「データ」「判断」「業務」をきれいに繋ぎ合わせ、どこまでをシステムに委ね、どこからを人が担うのか、そこまで泥臭く設計して初めて、技術が現場のリアルな価値に変わっていくのだと思います。

いつも接している分野とは異なる分野の展示会に参加したことで、システム開発の本質を深く見つめ直す良い刺激を得ることができました。

これからも様々な現場の生の声に触れながら、「単なる技術」ではなく「現場の仕事をもっと良くするためのシステム」を追求していきたいと思います。

本日も最後までお読みいただきありがとうございました。

それでは、よいIoTライフを!


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カテゴリ: IoT

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